ch.4:二次対策、苦肉の策、公共政策。~独学で国家総合職【政治・国際・人文区分】受験・合格記~
・二次対策(4/1~)
さて、一次を通ってしまったので二次の対策をせねばなりませんが、私はこれまで一切対策をしてきていなかったので、困ったことになりました(自業自得)。
二次は専門記述+政策論文+面接で、専門記述+政策論文が4月14日でした。
対策をどうするかですが、専門記述の対策なんて(少なくとも私にとっては)2週間程度でどうにかなるものではありません。
一次は問題文を見て正しいものが分かれば良かったのですが、記述は自ら知識と見解を書き出せなければなりません。私の専門である政治学についても、国総の専門記述に耐えうる力量は無いと判断しました。
そこで、以下の記事を読んで、縋ることにしたのが公共政策です。
今年(2024)度試験より、専門記述の必要解答数が3題から2題に削減され、かつ公共政策A・Bを双方使えるという政治・国際区分の利点(他区分はA・Bどちらか1題しか使えない)にしゃぶりつき、公共政策一点突破を目指すことにしました。
(一応、公共政策の2題のうちどちらかが全く手の付けられないテーマだった場合に備えて、政治学を予備として押さえておくことにしました。後述します。)
・公共政策対策
勉強するにあたって、以下の書籍を利用しました(略称)。
・Wセミナー 公共政策 専門記述テキスト
・Wセミナー 政策論文・専門記述 答案復元集
→復元答案には、その答案が何点だったのかも併記されていて、これが大変良い指標になりました。
⇒この2冊は某予備校のテキスト。メルカリで買いました。独学の定義が揺れる気がしますが、良い本をひとりで見つける力もまた独学力なり、ということで……。
・秋吉貴雄『入門 公共政策学』
(・過去問500 国家総合職・専門試験 ←買ったけどほぼ未使用)
秋吉さんの書籍は、公共政策が何たるかを理解するのには役立ちました。しかし、内容の全てが直接解答に貢献するというわけでもないので、公共政策というモノに無知な人が、その学問的立ち位置や基本スタンスを理解するのを手助けするものだという感じです(書籍とほぼ同様の内容がWセミナーのテキスト冒頭にも載っていたのは内緒)。
勉強の流れとしては、
問題を解く(本番は2題で3時間なので、1時間半を目安に)
→復元集の解答と突き合わせる
→解答のポイント・コツを抽出する
です。ただ、残念なことに復元答案があったのが令和3年と4年の公共政策Aのみだったので、その他の問題についてはテキストの方に載っている解答例を参考に勉強していました。
公共政策は基本的に資料を元にして、そこから何が読み取れるかを答える科目です。出題者は、資料に「この資料のこれに気付いてくれ!そして、それに関して答えてくれ!」というメッセージを込めているので、それに気付けるようになるトレーニング、という感じです。
そして、解答の際、特に「~の問題について考えられる政策を答えなさい」系の質問に対しては、資料からのメッセージに答えつつ、規制・誘引・情報提供/ハード・ソフトの施策など、「公共政策(学)」の道具を用いて解答を作るという感覚が強いです。
なので、勉強のポイントとしては、
・資料のメッセージに気が付けるようになる
・説得力を持った記述になるような資料の用い方を覚える
・アイデアの源となる「公共政策(学)」の概念を身に着ける
あたりが挙げられるのかなと思います。与えられるテーマ・資料は毎度毎度異なるので、考え方や答え方のフレームを見つけて身に着けるような意識で勉強していました。
全ての過去問を1時間半かけて演習していたのでは時間がかかり過ぎて演習量が不足しそうだったので、古い年度のものについては、資料を読んで解答のアウトラインを作るところまでにしていました。
・政策論文対策
二次は政策論文もあります。試験全体の配分としては2/15で、しかも大体が6点付近になるということで対策しない方も多いそうですが、私は論文系が苦手(文系とは)なので勉強することにしました。
やってみると分かるのですが、公共政策≒政策論文です。つまり、公共政策の対策が政策論文対策にもなり、その逆も然りです。その点、相乗効果があって良かったのかなと思います。
勉強の流れは公共政策と同じです。
政策論文に関しては、各問題に対して多くの復元解答が載っていたので、それらを精査して、ポイントやコツを抽出していました。
主なコツ・ポイントとしては、
・資料をしっかり読み、解答すべき事項を把握する
→資料から、出題者の「最低限これは答えて!」的なメッセージに気付く
・資料は、論点提示・政策の正当性の根拠・政策例として使える便利な道具
・資料が提示していない、関係のない論点で論じるのは避けるべし
・提案した政策は漠然としたもの(政策の方向性を示すだけ)でも問題無いが、より具体的な政策例を提示するとより高評価。
⇒「独自性」は、論点(視点)ではなく施策の具体性や新規性で示すべし。
あくまでも資料の誘導に乗った上での工夫が良いと思われる
・解答の基本構成は
[現状分析→資料から読み取った各論点を論じる(→まとめ)]
読み取れた論点が少ない場合は、現状分析を長めに書いたり、まとめの段落を作って文量を見繕う。逆に言及すべき論点や政策が多い場合は、現状分析は少しでも良い。
などが挙げられると思います。とにかく、大事なのは資料の誘導に全力で乗ることです。「え、これ資料から言えることを言ってるだけじゃん!?」みたいな解答が高得点になってたりします。
個人的には、「資料から言えることを確実に言及する+その論点内でより具体的な政策案を出す」とより高得点になるのかなと思っています。無理に時事知識を織り込もうとしたり、興味深いけども資料が全く言及していない論点・視点ばかりをとりあげてしまうと(多少はあってもいいとは思うけど)、少々低い点になるのかなという気がします。
ただ、高得点と言っても8点、低い点と言っても5点程度で、ここで大きな差は開きそうにありません(実際、この年も政策論文は平均点約6点、標準偏差約1点なので、ほとんどの受験者が平均点付近に集まっています)。
そういう意味で対策のコスパは非常に低い気がしますが、同じく資料を使う公共政策にも学びを活かせるので、勉強して損は無いのかなという気がしてます。
・政治学対策(補足)
公共政策A・Bどちらかが全くチンプンカンプンなテーマでの出題だった際に緊急避難先を用意しておこうと思い、過去問分析程度はしておきました。
過去の出題を見ると、議会・選挙など政治に関する制度・動向について、国際比較をしながら論じるというものが多いようでした。
そこで、過去に出題されておらず、かつ国際比較をしながら論じられるテーマとして
・政治改革(政治主導・政官関係) ・権威主義(国家体制)
・三権分立 ・選挙制度 ・司法との関係 ・二極化(右翼政党の台頭)
などを想定し、先進諸国の選挙制度、議会・政党状況を調べておきました。