消えたスペクトロライト
2014年11月。まだyujiさんが石の御見立て業をやっていた頃、いわゆるジュエリーとして購入する天然石とは別に、はじめて「完全おまかせ」の石の御見立てをお願いしました。こちらからお伝えしたのは「今の私に必要なものを・・・」ということとyujiさん的見解によるラッキカラー「紺やホワイトシルバー系」などのみリクエスト。1週間後「かなりレアなそれでいて強力なものをご用意いたしました」との連絡。仕上がりにもっと時間がかかると悠長に構えていた私は驚きつつも、石についても話を聞きたかったため、直接、事務所に取りに行きました。
そこで手もとにやってきたのはチェーンをつけたらペンダントにもなるドロップ型の「スペクトロライト」。ネイビーを基調として青みの強いパープル、黒や緑の光など角度によって輝きが異なる深いグラデーション。そしてこちらはその際にいただいたyujiさんからの石の説明書です。
今でこそスピリチュアリティや神秘世界にまつわることが生業となっていますが、当時の私はアンチスピを解脱して1年くらいの割と即物的な編集者。「神秘の世界とのつながり」や「高い次元からのメッセージ」にフォーカスされたことに心底驚きつつも、より自分らしくなれる石か〜!とドキドキワクワク。編集者として独立し、起業したてなこともあり、その後押しになるのかなぁ〜というくらい。
出版社勤務の時代から天然石のジュエリーは大好きだったので、Marie-Hélène de Taillacのジュエリーを記念日毎にコツコツ集めていたのですが、いわゆるパワーストーンという観点で石を手にしたのは初めて。説明書には、以下のような基礎情報も記されていたので初心者にはとても参考になりました。
石の浄化なんてしたこともない私は興味津々。浄化のペースが思っていたより多いことも驚きでした。ただ2010年に心身を病んで体調を崩していたとき、身代わりのように飛び散ったTaillacのネックレス(たしかスモーキークォーツだったかな?)があり、浄化しないままの石の姿が想像できて妙に納得。
さらに面白かったのは、このプログラミング! 処方された日より枕の下に入れて眠りについたら、毎晩、夢を3倍速でみるような感覚。怒涛の情報量!ものすごいスピード感の早送り再生。ブーストがかけられたような感覚でした。
そんな形で私のもとにやってきたスペクトロライト。チェーンをつけてネックレスとして持ち歩いたり、バッグの内ポケットに入れて持ち歩いたり、ほぼいつも近くにいたと思います。けれど翌年2015年12月の出産を機に、石がどこにあるのかわからなくなります。そしてどこを探しても見当たらないと思っていたその数ヶ月後、毎日持ち歩いていた小さなショルダーバッグのジッパー付き内ポケットから現れます。「あ、ここにあったのか!ということは、いつも身近にあったんだ!」と喜んだのも束の間、再びどこかに消えてしまいました。それから現れることはありません。一瞬「ここだよ〜」と知らせてくれたのが最後の挨拶だったかのようにいなくなりました。消えるかもしれないことを事前に意識させられ、その後、役割を終えた充実感と共に消えてしまった。
私は出産という人生における最大のデトックスを境に、“編集者としてのキャリア”というものに一切の興味を失い、今までの仕事のすべてを後輩の方々などに引き継ぐことをしています。個としてのキャリアに興味がなくなったとき、味覚や食の好み、興味関心もガラッと変化し、体内に流れている血と肉のすべてが入れ替わったような感じがしていました。辛いものは食べられなくなったし、お酒も飲みたいと思わない。まるで別人。
そんな体感を得ていたときyujiさんに言われたのが「魂ステージがあがりましたね」というひと言。「えぇ〜〜!そうなの?嬉しい!!」と喜びつつ、身に覚えがありまくり。ステージ“アップ“の感覚はないけれど(むしろ編集者としての仕事をしないから忙しくもなく、モラトリアム期に入っていた感じ)、ただまったくの別ステージに移った感覚はアリアリのアリ。
スペクトロライトの石に感謝を伝えるタイミングもなく、きっとどこか必要な場所へ旅立ったのだろうけれど、あの時の私には必要な石でした。強力な変容を促されたのかはわからない。けれど緩やかに、そして確かに、私の人生は大きく舵を切ることになりました。とはいえ振り返ってみれば、たった1年の付き合いだったのか、と驚くばかり。数年間は共にしたような、そのくらい濃密な時間感覚が残っています。
*写真のイラストは娘の新作。スペクトロライトは、光のあたり方によって複雑な色合いが折り重なっていた石だったなぁと思い、似通ってはないけれどイメージとして拝借してみました。
yujiさんの新著『運命を変える「石」の処方箋』発売に寄せて。
いただいたエネルギーは大切に循環させていただきます🙏✨