アシュラ2019 ～雪森 茜編～

～元ネタ～
平熱43度 Relation vol.2
アシュラ

スピンオフパロディ 「雪森 茜」

この投稿は平熱43度ファンのいち個人として
投稿する舞台のスピンオフパロディです。

私が予知を見るとそれが現実になる。私に都合のいい予知は見る事が出来ない。見たい予知だけを見たい。幸せな予知だけを見たい。

「何で？何でなの？何でよ！」

私の予知は不幸の予知。
戦争を引き起こし、多くの新生人種と現生人種とを戦地へと送った。

念導力やテレパス、テレポート、透視とは違う。結果のみをただ知る事の出来る能力。

小春は最近、身近な事、物について見る事が出来るように成ってきている。まだ子供。見える事が嬉しくてたまらない様子。私と同じようにはさせない。

「やめておきなさい。茜さん。」

「君人、くん。」

私の手の中にある銃を三沢君人は
奪い取る。

「らしくないですよ、茜さん。」

らしくないとは？私らしいとは？
私は見てさえいればいいの？
見たくない物を見てさえいればいいの？私には何が出来るの？
私は、私は見たくない！
不幸の未来など見たくない！

私はそうして「見る」事を拒否した。これまでは見ようとせずとも見えてしまったが、今は違う。
見たい物の未来だけを見る事が出来る。不幸な未来は嫌い。ヒトに関わる事を見ると不幸な未来ばかり見える。それを伝えたところで皆、納得はしない。

誰しも不幸な未来は見たくないのだ。

明日の天気は？→晴れ
今年の収穫は？→不作
鍵を失くした→見つかる
告白は？→失敗する
プロポーズは？→成功する

私には見える。見えた未来は変えようのない未来。変わりようのない未来。そんなハズはない！と言われても見えてしまったら終わり。

だって、見えてしまったのだから。

私は新生人種組織アシュラに必要のない存在である事をアピールし続け、やがて隔離された。

これでいい。私が見なければ、私さえ見なければ誰も不幸にはならない。なるべく平穏に。平和に暮らしたい。小春やみんなと笑って一緒に暮らしたい。

アシュラによる日本政府への蜂起。
世界に散らばる新生人種への勧誘。
アシュラが今後、日本という国が今後どうなるのか、世界は？

でも私は「見なかった」。
意識さえすれば見えただろう未来を、私は見る事を拒んだ。私が見れば世界は戦争へと突き進む。
そんな予感があった。

私が隔離されて後、アシュラの代表は月舘紗来が務め、私が過去に予知した通りの戦争へと進んでいく。

一度見えてしまった未来は変えようのない未来。
必ず訪れる未来。

「何で？何でなの？」

私がいようがいまいが関係無しに世界は狂っていく。

「何でなのよ！！」

私は見ていない。私が見たい世界は違う。私はただ、笑ってみんなと暮らしたい。ニコニコ笑ってただただ、平和に暮らしたい。

それだけが望み。
それだけが私の未来。
それだけを見たい。

私は私は私は私は、、、、。

私は「見た」
今まで見なかった世界を「見た」。
何度も何度も何度も「見た」。
朝も昼も夜もなく「見た」。
アシュラを東京を世界を「見た」。
三沢君人を月舘紗来を雪村小春を「見た」。

「何で？何でなの？何でなのよ！」

私が最後に「見た」のは雪村茜だった。

～雪村茜 終～