アシュラ2019 ~森山 明編~
~元ネタ~
平熱43度 Relation vol.2
アシュラ
スピンオフパロディ 「森山 明」
この投稿は平熱43度ファンのいち個人として
投稿する舞台のスピンオフパロディです。
直立不動で上官のくだらない話を聞いていると無性に蹴り飛ばしたくなる。そんな気持ちを押さえて、水槽の金魚に餌をやる上官を見やる。
相変わらずだなと思いながらも退出し、これも職務だと言い聞かせ、部下のもとへ行き指示をだす。
「はぁ。」
とため息ひとつもつきたくもなる。
現在のアシュラによる遊撃は限定的で、あまり大きな動きはない。
軍としてもアシュラのアジト特定には至っておらず膠着状態が続いている模様。
「コーヒー、、、はないか。」
アシュラとの戦時下にある我が国において、嗜好品は貴重だった。軍上層部にでもいけばあるかもしれないが。
ステンレスのカップに水を汲み一気に飲み干す。味気ないとは思うが戦時下において水は貴重だ。ヒトは水を飲まなければ生きては行けない。
過去にも水を巡って戦争なども起きたほどである。
パラパラと資料に目を通すが大した情報もない。現状の膠着状態を思わせる記述が並ぶのみ。
「森山君。聞いているかね。」
「はっ。今後の作戦についてはブリーフィング資料に目を通してあります。」
「んーむ、まぁよし。」
敬礼をし、退出するもこれからどう彼らを説得するか。が頭の中を占めていた。理解は出来る。そこまで落ちこぼれてはいない。彼らなら。
そう、彼らなら。
「、、、以上だ。質問は受け付けん。
各自準備を整え、待機。」
部下を送り出すと、自身の簡素な椅子へと座り込む。
部下を戦地へ送り出すのは楽ではない。仕事だ命令だと言われても所詮、ヒトなのだ。ヒトはヒト以上に成り得ない。
「新生人種か。」
新生人種との戦争が膠着状態にある中で、直接的干渉を受けないものについては無効化出来る。らしい。
自身、新生人種と戦った経験は無くその存在ですら訝しんでいるほどだ。それに対抗する装備など全くもって想像もつかない世界。
現在、戦場では未知の存在と戦っているのかも知れない。
軍人とは情けないもので、上に行けば行くほど戦地から遠ざかる。よって戦場のリアルな情報も届きにくい。まして中間管理職な立場の自身には実のある話など入って来なかった。
「頼んだぞ。伊丸岡隊。」
窓の外、遥か遠くを見ながらそう呟く事しか出来なかった。
~森山明 終~