陳宝来沖縄台湾文庫note

当文庫は、那覇で出会った30〜60代の文化系男女3人がマイペースで運営しています。沖縄台湾コリア文庫。©︎陳宝来沖縄台湾文庫 2022

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当文庫は、那覇で出会った30〜60代の文化系男女3人がマイペースで運営しています。沖縄台湾コリア文庫。©︎陳宝来沖縄台湾文庫 2022

最近の記事

牡丹社事件150年の節目

 今年は牡丹社事件(日本の台湾出兵)から150年の節目にあたる。1874年に日本軍と交戦現場となった台湾南部・屏東県牡丹郷は、2007年に原住民パイワン族のaruqu頭目父子が日本軍に討たれ死亡した、5月22日を「牡丹社事件記念日」と定め、毎年記念行事を開催している。  今年の150年記念式典は、同日に屏東県の主催でパイワン族と日本軍が石門で激突した、石門古戦場跡で執り行われた。同戦場跡は昨年、同県の県定史蹟に指定された。これを記念する石碑の除幕式も同日にあった。式典には、宮

    • 「愛と和平」記念碑祈願式

       2007年に牡丹社事件で加害者・台湾屏東県牡丹郷原住民パイワン族の末裔から被害者・宮古側に和解を象徴する「愛と和平」記念碑が寄贈された。記念碑は長い間下地中学校構内に設置されていたが、昨年3月にカママ嶺公園に移設され、今年の3月には内外の訪問者のために日本語、中国語、英語の案内板も建てられた。  1874年5月、日本はその3年前の71年に台湾南東部海岸八瑶湾に漂着した宮古島出身者を中心とする琉球人54人が原住民パイワン族に殺害されたことを口実に、台湾南部の恒春半島に出兵し、

      • 句集「点睛」・山崎祐子第一句集鑑賞文

        囀の下で束ねる青菜かな 立春大吉天秤棒の仔豚売れ 渡し舟闘鶏の籠まつさきに 鶏が西瓜の皮をよろこべり 背伸びして干す剣道着桐の花 砂糖かけ盆供の団子父と食ぶ 星飛べりナイフで削る干しチーズ 宵闇の膝立てて吸ふ長煙管 極月や土蔵に猿の頭蓋骨 平原に象哭き釣瓶落しかな 国境に塩のこぼるる淑気かな 女手の耕し天に至るまで 忌日来るしじみが鍋に音たてて 擦り切れし辞書を抱へて日焼の子 羊追ひ国境を越ゆ雲の峰  「点睛」句集には、祐子さんが海外を旅して詠んだ句がたくさん収められている

        • 「りいの俳誌」2024年7月・最終号に掲載された檜山哲彦主宰追悼文

          お祝いのお言葉を大事に          檜山主宰の訃報に接し、深い悲しみに包まれております。2009年「りいの俳句会」に入会し、主宰執筆の俳句ディアローグぺージを読むことが、私の作句の啓発の源となりました。このページは私の教科書であり、何度も線を引き、書き込み、学びました。在籍した15年間、主宰の豊かな知識・語彙や導きには深い感銘を受けました。  昨年の11月末、第12回「りいの俳句賞」授賞式でお祝いのお言葉をいただきました。とても感慨深いものがありました。多分、そんなに

          第二十二回「万象俳句賞」応募作品

          五月の牡丹郷 旅人として山越ゆる薄暑光 樹々は濃く淡く五月の牡丹郷 青葉光百五十年目の忌み日 万緑の風音に人集ひたる 在りし日へ万緑をなす巌かな 聖五月牡丹社事件の壁画光 産土の戦事遥かや朝蛍 大南風正装の郷長が立ち 式典の椅子野牡丹の風の中 蒼空へ楽音高き夏野原 青歯朶を冠にパイワン少女かな 平和込め壺に挿す白百合の白 史蹟碑に記憶すべてや夏野ゆく 汗拭ひ戦争展示肩越しに もてなしは牡丹社故事館の冷房 田を植うる琉球人墓守り継ぎて 忌み日果

          第二十二回「万象俳句賞」応募作品

          我部政男氏による台湾大学への蔵書寄贈に裏方として関わった私の独り言

          6月12日、台湾大学図書館で我部政男氏の蔵書寄贈式に参加した。思えば、2022年11月中旬以降のある日、氏から突然電話があった。内容は、自身の蔵書約3万余冊は、前国立故宮博物院・呉密察院長の強力な推薦により、台湾大学が受け入れることになったので、琉球海運に積んでもう台湾に向けて出発したからそろそろ台湾に着く頃だという。私には、今後何かあれば、協力してとの依頼だった。氏から電話が来る前に、台湾の知人から氏の書籍が基隆港に到着したとの連絡を受けていた。 それから、1か月後の12

          我部政男氏による台湾大学への蔵書寄贈に裏方として関わった私の独り言

          台湾故宮博物院を呉密察前院長の案内で見学、そして故宮晶華グルメを堪能しました

          我部政男氏による台湾大学への蔵書寄贈式翌日の6月13日午後、前国立故宮博物院・呉密察院長(任期:2019年2月14日~2023年1月30日)は、式参加のために初めて訪台した我部氏の奈美夫人と政貴子息を故宮博物院に案内した。私もお伴した。 台北の国立故宮博物院は台湾最大の博物館で、かつ世界四大博物館の1つ。また台湾の八景の1つでもある。その歴史は波乱万丈だ。清朝崩壊後の中華民国政府は、1925年に紫禁城の宮廷に残された文物を継承。これを管理するため北京に故宮博物院を設立し、一

          台湾故宮博物院を呉密察前院長の案内で見学、そして故宮晶華グルメを堪能しました

          我部政男氏蔵書寄贈式の参加者らが「磯小屋」を見学

           磯小屋は、台湾大学にある旧高等農林学校作業室の通称。1925年に建てられた日本らしさを感じる家屋で、台湾大学の建築物の中で最も古いものである。なお、台湾で現存する木造学校の中でも一番古い建築物で、農業教育校舎の建築物代表としての意義があるため、台北市政府は2009年7月28日に市定古跡と指定した。  磯小屋には、蓬莱米の父・磯永吉博士と蓬莱米の母・末永仁博士の銅像とともに当時の実験で使った道具・器具や米のサンプル、資料などが展示されている。パネル展示には日本語の解説もあり

          我部政男氏蔵書寄贈式の参加者らが「磯小屋」を見学

          我部政男氏が蔵書3万余冊、台湾大へ寄贈

           山梨学院大学名誉教授・我部政男氏(85)が、自身の琉球及び日本史研究等の図書3万冊余を台湾大学に寄贈した。寄贈式は、6月12日(水)に同大図書館国際会議室で執り行われた。  式典で、我部氏は「台湾で沖縄・日本研究に役立ててほしい。将来は、琉球・沖縄研究所が設立することを期待したい」とあいさつ。同大の陳文章学長は「まず、我部氏の本校へ3万余冊の蔵書寄贈に対し、感謝を表した。将来は同校の百年記念館にも我部氏の蔵書を展示したい。そして、我部氏を同校の百年記念の百名有名人物の一人

          我部政男氏が蔵書3万余冊、台湾大へ寄贈

          プロトコール(国際儀礼)

           プロトコールとは国際儀礼の意味。外交の場や国際的な催しで、その実務や交流の場における公式な規則や手順などを一つの典拠として、利用できるようにまとめた基本的な原則なものをいうのである。  新型コロナ感染症が昨年5月に5類に引き下げられ、制約が緩和された日常生活に戻って、はや1年が過ぎました。沖台双方の交流事業の催しもコロナ前に戻りつつあるというより、さらなる緊密な展開を見せている。  沖縄在住26年になるが、独身時代は台湾と沖縄の交流窓口である中琉文化経済協会(所在地=台

          プロトコール(国際儀礼)

          李雪峰さん死去

           中琉文化経済協会の元常務理事・李雪峰さんの訃報を知らされた。97歳だった。  1986年3月、私は琉球大学での留学生活を終え、台北に帰省し、同協会に勤めた。その時、初めてその名前を知った。李さんは26(大正15)年生まれで、第2次大戦中は戦闘機製造のため、神奈川県の高座に派遣され、台湾の少年工として働いたこともある。戦後、日本から台湾に戻ると、米占領下だった本県の建設会社「国場組」の台北事務所長を務めた。台湾から労働者や資材を沖縄に送る仕事に携わる。  58年3月、台湾

          宮古島を訪ねて

           先日、20年ぶりに1泊2日の日程で宮古島を訪ねた。「花笠空港」の愛称でおなじみだった頃は何回も行ったが、今の空港になってからは2回目。滞在中、目に映るものがすべて懐古の念に駆られた。  訪ねた目的は元下地中学校構内に設置されていた「愛と和平」の碑が昨年3月、カママ嶺公園に移転されたからだ。同様な石像は台湾屏東県牡丹郷の「牡丹社事件紀念公園」にも建立されている。  碑は、「牡丹社事件」の加害者と被害者の和解の象徴として2007年12月8日にパイワン族側から宮古に寄贈した。

          沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置する

          2024年1月31日、沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置すると発表しました。私は「これは韓国でいうところの在外同胞庁のようなものなのかな」などと想像しながら注目しています。 韓国の場合、在外同胞庁は23年6月に発足したばかり。朝日新聞によると「外交省の部署や政府傘下の財団に分散していた業務を一元的に扱い、支援を強化する」取り組みとのことです。 中華民国(台湾)ではずいぶん前から「僑務委員会」という組織があるそうです。移民などさまざな形で越境した人びととその子孫が、

          沖縄県が世界のウチナーンチュセンターを設置する

          牡丹社事件伝える

           台湾の屏東県(へいとうけん)牡丹(ぼたん)郷(きょう)役所は、2023年5月22日に石門古戦場で「牡丹社事件149周年記念活動」を実施した。来年の150年の節目に向けて、宮古島に帰島中に台湾南部に漂流した琉球人が殺害された事件をきっかけに台湾出兵した同事件の激戦地となった石門古戦場で、事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。  周春米(しゅうしゅんまい)屏東県知事は起工式の挨拶で次のように述べた。牡丹郷は台湾最南端の山岳原住民の町であ

          牡丹社事件150周年節目の年に向けて~台沖双方の理解が必要

           今年2024年は牡丹社事件(日本の台湾出兵)150周年の節目だ。ここ数年、地元・屏東県(へいとうけん)牡丹(ぼたん)郷(きょう)では同事件を原住民の視点から再検証するため、事件発生場所のエリアで、積極的に関連施設を建設・開館し、同事件への理解と認識を深める動きが活発化している。  牡丹郷役所は23年5月22日に、パイワン族と日本軍との戦いの激戦地となった石門古戦場で、同事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。周春米(しゅうしゅんまい)

          牡丹社事件150周年節目の年に向けて~台沖双方の理解が必要

          愛玉子(オーギョーチ)

           NHK朝ドラ「らんまん」第22週のサブタイトルは「オーギョーチ」。主人公・槙野万太郎は日本の植物学者・牧野富太郎がモデルだ。第109話では、日本統治時代の台湾へ植物調査に派遣された槙野が「台湾で愛玉子(オーギョーチ)に命を救われ、日本に持ち帰った」と話すシーンがあった。  台湾に行ったことがある方ならば、市街地の小吃(シャオチー)店や夜市の屋台で「愛玉」や「愛玉氷」という文字を見かけたことがあると思う。台湾で「愛玉」は、中国語読みの「アイユー」の名で親しまれ、暑い夏にはぴっ

          愛玉子(オーギョーチ)