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屋慶名バスターミナルの歴史

屋慶名バスターミナルとは、うるま市に設置されている沖縄バスのバスターミナルである。
所在するうるま市は、2005年4月1日に具志川市、石川市、与那城町、勝連町が合併して誕生した市であるが、屋慶名バスターミナルは、このうち旧・与那城町に位置した。旧市町村名が由来であった久志バスターミナルのことを考えると、与那城バスターミナルでもよさそうだが、なぜか字名である「屋慶名」が採用されている。

屋慶名バスターミナルの位置
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

現在の屋慶名バスターミナルは3代目

先に書くと、現在の屋慶名バスターミナルは3代目である。移転歴を地図上に落としたものを以下に示す。
なおこれだけ移転していも、初代から3代目までのすべてが「屋慶名」地区内に位置しており、現在まで名称に偽りはない。

初代~3代目の屋慶名バスターミナルの位置
OpenStreetMap®を元に作成 ©OpenStreetMap contributors

2024年7月現在の屋慶名バスターミナルは、沖縄バスのみが発着するバスターミナルであるが、2016年3月までは琉球バス交通(前身の琉球バスや昭和バスを含む)、1990年頃までは那覇バスの前身である那覇交通も乗り入れていた。

1950年にはバス営業所が設置されていた

屋慶名にバス営業所が設置されたのは1950年4月1日のことである。この日は、戦後初の民間バス会社の1つである沖縄バスが営業を開始した日であり、この沖縄バスの営業開始と同時に、旧・与那城村にはバス営業所が開設された。なお1950年時点で「屋慶名村」ではなく「与那城村」であったのだが、この当時でも「与那城出張所」ではなく「屋慶名出張所」であった。

安里に本店、名護に支店を置き、那覇、神里原、糸満、安里、石川、屋ヶ名、本部、今帰仁、辺土名の9ヶ所に出張所を開設した。

沖縄バス30年のあゆみ(1981年6月 沖縄バス発行)p.8
太字は筆者によるもの

この屋慶名出張所は、かつての与那城村役場(現在のうるま市与那城社会福祉センター)付近$${^1}$$に設置されていたようだが、詳細な場所は不明である。
なおこの当時は、「屋慶名バスターミナル」ではなく、沖縄バスの「屋慶名バス乗り場」という言い方が正確であり、他社は別の場所に「バス乗り場」を設置していた。そのため、同じ行き先でもそれぞれの運行会社の営業所に行ってバスに乗るという、今からすると相当不便な仕組みであった。

【沖縄バス/アーカイブスVOL.55】 ~与那城村・屋慶名(やけな)出張所~ 旧与那城村(現うるま市与那城)にあった、創業当時の屋慶名出張所です☆

Posted by 沖縄バス株式会社 on Sunday, August 17, 2014

1956年に初代バスターミナルが開設

各社の「バス乗り場」が集約され、初代「屋慶名バスターミナル」が開設されたのは、1956年(昭和31年)10月12日のことである。

昭和31年10月12日 屋慶名バスターミナル開所式

沖縄バス30年のあゆみ(1981年6月 沖縄バス発行)p.53

初代・屋慶名バスターミナルの所在地は「与那城村字屋慶名1130$${^2}$$」である。この住所と完全に一致する住所は現存しないが、当時の航空写真と照らし合わせると、2019年5月まで琉球銀行屋慶名支店が立地、現在は老人ホームが立地している敷地に、初代・屋慶名バスターミナルが設置されていた。
地図で示すと以下の場所である。

初代・屋慶名バスターミナルが存在した1970年10月当時の航空写真を以下に示す。バスが6台ほど停車している敷地が確認できる。

初代・屋慶名バスターミナル 1970/10/31撮影
(国土地理院の空中写真【MOK701X-C20-3】を筆者が加工)

なお、参考までに後に開設される2代目・屋慶名バスターミナルもあわせて示したが、2代目・屋慶名バスターミナル周辺は田畑が広がるエリアであった。宅地化の状況も踏まえると、この当時は村役場が設置されていた初代バスターミナル周辺が、与那城村の中心地であったのであろう。

ちなみに1964年12月末時点$${^3}$$での乗り入れ路線は、下記の通りである。前述の通り、この当時は、沖縄バスのほかに琉球バスと那覇交通も乗り入れていた。なお、沖縄バス以外の営業所の設置有無は不明である。

  • 屋慶名線(首里経由):12本/日【那覇交通】

  • 屋慶名線(大謝名経由):129本/日【琉球バス・沖縄バス】

  • 前原線:35本/日【沖縄バス】

1972年に2代目バスターミナルが開設

1972年(昭和47年)12月14日に、初代バスターミナルから約1kmほど西に進んだ箇所に2代目・屋慶名バスターミナルが開設された。

昭和47年12月14日 屋慶名バスターミナル移転(海中道路入口)

沖縄バス30年のあゆみ(1981年6月 沖縄バス発行)p.56

所在地は「与那城村字屋慶名396-1$${^1}$$」であり、現在はファミリーマート与那城あやはし店が立地している。

2代目・屋慶名バスターミナルが現役であった1977年12月当時の航空写真を以下に示す。

2代目・屋慶名バスターミナル 1977/12/09撮影
(国土地理院の空中写真【COK771-C48B-6】を筆者が加工)

参考までに、初代と3代目のバスターミナルの位置も示す。この時点で既に初代バスターミナルの痕跡は確認できず、また3代目バスターミナルは畑として使用されている。
ちなみに初代バスターミナルの敷地面積は「1,421.49m2$${^2}$$」、2代目バスターミナルの敷地面積は「1,841.36m2$${^4}$$」である。微増程度であるが、将来的な敷地不足を想定した際に、初代バスターミナルの位置では拡張が不可能と判断し、前もって郊外に移転したのかもしれない。なお与那城村役場も、バスターミナルの移転から約20年後の1993年に2代目バスターミナル付近に移転している。

1990年4月当時の時点$${^5}$$での乗り入れ路線は、下記の通りである。

  • 26番・屋慶名線(首里経由):10本/日【那覇交通】

  • 27番・屋慶名線(大謝名経由):128本/日【琉球バス・沖縄バス】

  • 61番・前原線:32本/日【沖縄バス】

少なくともこの2代目バスターミナル時代には、沖縄バス以外に琉球バスも屋慶名出張所を設置していた(那覇交通は設置無し)$${^6}$$。なお那覇交通は、1990年4月$${^5}$$~1993年3月$${^7}$$に乗り入れ路線であった26番・屋慶名線を廃止している。

2000年に3代目バスターミナルが開設

2代目バスターミナルは、目の前を通る県道10号線の拡幅工事に伴い閉鎖されることとなり、現在の3代目バスターミナルが開設された。1999年11月30日に落成式が行われ、翌2000年1月1日よりバスターミナルとしての使用が開始されている。
3代目バスターミナルが開設されたのちの、2005年1月当時の航空写真を以下に示す。

3代目・屋慶名バスターミナル 2005/01/24撮影
(国土地理院の空中写真【COK20041X-C1-4】を筆者が加工)

この移転に際して、琉球バスは屋慶名出張所を廃止し、路線バスが乗り入れするのみとなった$${^9}$$が、その後の2016年3月27日をもって乗り入れ自体も廃止し、2024年7月現在は沖縄バスが単独で使用するバスターミナルとなっている。

なお、3代目バスターミナルの敷地面積は「3,305.79m2$${^8}$$」となり、2代目バスターミナルの約2倍にまで広がったが、屋慶名バスターミナルを発着する主力路線である27番・屋慶名線は減便傾向であり、移転直後の2002年から、2024年現在の22年の間で約1/6にまで減便されている。

脚注

  1. 沖縄バス30年のあゆみ(1981年6月 沖縄バス発行)p.11、46

  2. 昭和47年度 運輸要覧(1972年10月 沖縄総合事務局運輸部発行)p.6

  3. 行政監察業務概況 1970年5月(1970年5月 琉球政府総務局行政部発行)p.72~73

  4. 昭和50年度 運輸要覧(1975年10月 沖縄総合事務局運輸部発行)p.197

  5. 平成2年度 業務概況(1990年7月 沖縄総合事務局陸運事務所発行)p.23

  6. バスルートマップ沖縄(1980年 運輸経済研究センター発行)

  7. 平成5年度 業務概況(1993年7月 沖縄総合事務局陸運事務所発行)p.23

  8. 平成16年度 運輸要覧(2004年12月 沖縄総合事務局運輸部発行)p.219

  9. 沖縄バス60年のあゆみ(2011年3月 沖縄バス発行)p.43


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