かつて存在した那覇交通の小禄営業所
那覇バスの前身である那覇交通はかつて「小禄営業所」を設置していた。
その小禄営業所だが、「初代」と「2代目」があり、両者の存在時期は連続しておらず、またその両方ともが廃止となっており現存しない。
初代小禄営業所について
那覇交通の創立30周年記念誌によると、下記のような記述があり、具体的な年月日の記述は無いが、前後の文章からすると、1967年に(小禄)宇栄原に営業所が設置されたようである。
1968年~1970年頃の琉球政府の陸運関係資料$${^1}$$にも、小禄営業所の名があり、その所在地は「那覇市宇栄原1019」となっている。
地図で示すと以下の場所である。小禄中学校の目の前であり、現在は「宇栄原センターハイツ」というマンションが建っている。
なお、宇栄原団地の歴史を紹介しているWebサイトにて、下記のような記述があるが、ここでの「バスターミナル」というのが、立地的には初代小禄営業所のことだと思われる。
初代小禄営業所があった1970年5月当時の航空写真を以下に示す。バスが10台程度止まっているのが確認できる。
この初代小禄営業所であるが、1976年5月1日の那覇市内線の大再編により、すべての市内線が三重城営業所発着となった際に廃止されたようである。
再編後である1977年12月当時の航空写真を以下に示す。敷地は確認できるが、1970年当時とは異なりバスらしき車両は1台も写っていない。
2代目小禄営業所について
ただ1976年の三重城営業所への集約は、長大路線の定時運行への支障や、無駄な回送が多く発生し、結果として失敗と判断されたようで、再び小禄営業所が設置されることとなった。
当時の新聞に下記のような記事があり、1983年1月6日に2代目小禄営業所が設置されたようである。
地図で示すと以下の場所である。現在は「名嘉地住宅」という国家公務員宿舎が建っている。
2代目小禄営業所があった1993年12月当時の航空写真を以下に示す。
初代小禄営業所と比較すると、敷地面積は2倍程度に広がったようである。なお、この時点で初代小禄営業所の敷地には「宇栄原センターハイツ」らしき建物が立地している。
2代目小禄営業所であるが、1993年3月末時点のバス路線一覧$${^2}$$には記載があり、かつ前述の1993年12月当時の航空写真でもその存在が確認できるが、翌1994年3月末時点のバス路線一覧$${^3}$$では記載がないことから、1993年12月~1994年3月の間に廃止されたようである。
ちなみに、那覇交通は1990年~1993年の間に小禄営業所からも比較的近い那覇市具志に現在も存在する「具志営業所」を設置しており、短期間ではあるが、小禄営業所と具志営業所の2営業所が存在していた時期がある。
両営業所が存在していた1993年9月当時の航空写真を以下に示す。
両営業所は直線距離だと2kmも離れておらず、車だと10分かからない距離であり、さすがにこの短距離で2つも営業所は不要と判断されたのか、前述の通り小禄営業所の方が廃止され、小禄営業所を発着していた9番・小禄石嶺線や11番・安岡宇栄原線は、具志営業所の管轄に変更されている。これらの路線は、管轄変更後も小禄営業所の跡地に設置された松川入口バス停発着となっていたが、2005年5月1日に具志営業所発着に変更されている。
注釈
陸運関係資料 バス関係財務諸表(1968年10月~1970年10月 琉球政府企画局企画部)p.160
平成5年度 業務概況(1993年7月 沖縄総合事務局陸運事務所発行)p.21
平成6年度 業務概況(1994年7月 沖縄総合事務局陸運事務所発行)p.20