はしか(麻疹)ってなあに?
沖縄県はしか“0”プロジェクトのホームページで、特にアクセスが多い「はしか(麻疹)ってなあに?」のページをnoteにも掲載しました。ご一読頂けると幸いです。
はしか(麻しん)とは
「はしか」は医学的には麻しんと呼ばれ麻疹と表記されることもあります。
はしか(麻しん)ウイルスに感染することによっておこる伝染病です。
人から人へ直接うつり、伝染力が非常に高い病気です。
その昔、日本においては「疱瘡は見目定め、麻しんは命定め」と言われていたそうです。これは「天然痘は痘痕(あばた)を残し見た目が悪くなる、麻しんは生命の危機である」という事です。60年くらい前までは、子どもが元気に3歳頃まで育ってそれから出生届を出すというように、子どもが小さい頃に死んでしまうことが珍しくない時代がありましたが、その原因のひとつに“はしか”の存在がありました。
◆潜伏期間(感染してから発病するまでの期間)10~12日程度
◆症状
まず熱や咳、鼻汁、めやになどで始まり、目の充血や口の粘膜の発赤などが目立ちます。口の中の粘膜に白いブツブツ(コプリック斑)が見られることもあります。
3日ほど経った頃、一旦熱が軽くなりますがすぐまた高熱となります。
その頃から発疹(ブツブツ)が出てきます。発疹は耳の後ろから始まり次第に全身に広がります。
発疹が出始めて3~4日経つと熱は下がり、発疹は次第に黒ずんだ色に変わってきます。
1.はしか顔貌:
顔面に発疹があり、口、鼻、目も赤く腫れている。鼻水、目やにも見られる。
2.はしかの発疹①:
発疹は首すじや耳のうしろ辺りから始まり、翌日には顔や体幹部、そして四肢末端にまで、遠心性に広がっていきます。
3.はしかの発疹②:
発疹が体幹部から四肢に広がり、体幹部の発疹は燃えるような勢いである。はしかのピークの状態。
4.はしかの発疹③:
発疹は出た順序で薄くなっていく。体幹部の発疹が薄くなり、はしかのピークを過ぎるところ。発疹が消えると熱も下がる。
コブリック斑
◆予防接種
はしかの予防接種は、これまで1回だけでしたが、はしかを日本からなくすため法律が改正され、平成18年6月より小学校入学前の2回目接種が加わり2回接種となりました。
現在のはしかの定期予防接種は次の通りです。
1期:1歳代(1歳の誕生日から2歳の誕生日の前日まで)
2期:小学校入学前の1年間
接種対象期間を過ぎると自費接種になり、予防接種代は約1万円です。
対象年齢になった時には必ず受けて下さい。
◆ワクチン
はしかの予防接種に使用されるワクチンは、はしか・風しん混合ワクチン(MRワクチン)を使用します。このMRワクチンは、これまで、はしかや風しんに罹った人にも使用出来ますし、また、はしかや風しんに罹ったと思い込んでいる人も救うことができます。これははしかと風しんはともに発疹が出る病気ですが、時には診断が難しいことがあるためです。
このような接種方式の安全性は世界的に確認されています。
◆予防接種の健康被害
予防接種による恩恵は計り知れないのですが、ワクチンの健康被害を心配される方もいると思います。
ワクチンは世界で最も調査されている薬のひとつであり、必要なら改良されており、安全性に対する関心は今後もなくなることはありません。
本当の意味での健康被害は非常にまれであることが分かっています。
ワクチン接種後の健康被害が本当にワクチンによるものかの判断は、非常に難しいのですが、因果関係が完全に否定されない限り、健康被害の救済を受けることができます。
定期接種では、予防接種法で健康被害の補償が手厚く決められており、健康被害を少しでも心配される方は、国が決められた定期接種の期間内に 予防接種を受けることが大切です。
我が国では、残念ながらこの健康被害に対するアレルギーから、様々な病気に対する予防接種が大きく遅れてしまいました。世界では、はしかに限らず予防接種で子どもたちを恐ろしい病気から守ることが進んでいます。
詳しくは「VPDを知って、子どもを守ろう」のホームページをご覧下さい。
◆修飾麻しん(はしか)
はしかに対する免疫が少し残っている時にみられるものです。
多くは典型的な経過を示さず、はしかに特有なコプリックもなく、症状だけから診断することは困難です。
沖縄県の経験では発熱と発疹が1日だけの例がありました。
修飾麻しん(はしか)が見られるのは次の3つです。
母体からの免疫が残っているとき
ワクチンで獲得した免疫が少し残っている時
γ(ガンマ)グロブリン注射で免疫が残っている時
最近の若者で見られるはしかには、2の原因による修飾麻しん(はしか)が多くなっています。
◆合併症
肺炎、中耳炎、クループ症候群などは高頻度に起こる合併症です。
その他に心筋炎、脳炎(2000例に1~2例)などがあります。
合併症は全体の約30%に起こると言われています。
◆亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
はしかの後、7~10年で発症する中枢神経疾患です。平均して6~9ヶ月で死亡します。麻疹罹患者の10万例に1人発生し、治療法のないとても恐ろしい合併症です。このSSPEはワクチン接種でもごくまれに起きると考えられていましたが、そのデータは、はしかが流行していた時のもので、ワクチンによりSSPEになったと証明されたものはありません。
ワクチンによりSSPEになったと考えられていた患者さんからは、野外(自然)感染を起こすはしかウイルスの遺伝子が証明されています。
“誰もが一度は通る道”という意味で「それは、はしかのようなものだよ、、、」という表現がよく使われますが、言葉の雰囲気とは異なりはしかは非常に危険な病気です。上記の合併症などのために入院が必要になることは珍しくなく、現代の医療水準をもってしても1000人に1人は亡くなると言われています。沖縄県においては平成10年7月~11年9月の約一年間に8名の乳幼児が亡くなりました。(その後平成12年10月~13年10月の流行期にも1名が亡くなっています)
◆はしかについてもっと詳しく知りたい方はこちら
2018年の春先に沖縄であった流行を終息までまとめたものが下記になります。沖縄県における麻疹の流行と対策 2018年
◆2024年に取材協力した記事
(RBC 琉球放送)1人が最大18人にうつす強い感染力を持つ「はしか」 乳幼児では重症化や死亡する例も 予防に大切なことは
(OTV沖縄テレビ放送)麻しんウイルスに感染することで引き起こされる「はしか」は、体中に発疹が広がり高熱が出る病気でインフルエンザよりも強い感染力が特徴です。予防するためのワクチンは小学校に入るまでに2回接種する必要がありますが、県内の接種率は全国ワーストとなっています。一回目89.1% 二回目85.7%(令和4年度) 27日県内の病院や保健所で働く医師などおよそ30人が集まり、今年に入って国内で20人の患者が確認されていることや乳幼児が感染すると命に関わる恐れがあるはしか予防の重要性などについて意見を交わしました。