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沖縄の野鳥「リュウキュウヒヨドリ」
イソヒヨドリはよく見るけど、ヒヨドリって案外出会わないかも。
いつも木の中にいてなかなか撮影できなかったのですが、今日見通しのいい場所に出てきてくれて撮影できました。
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さえずる様子
リュウキュウヒヨドリ
スズメ目ヒヨドリ科
留鳥
ヒヨドリは日本全国に留鳥または漂鳥として分布し、身近な存在として知られています。全部で7つの亜種が存在し、沖縄島にはリュウキュウヒヨドリが生息しています。琉球列島ではさらに細かく分かれ、アマミヒヨドリ、イシガキヒヨドリ、タイワンヒヨドリといった亜種も存在し、それぞれ形態や鳴き声に地域差が見られます。特に南に生息する亜種ほど体の褐色みが強く、全体的に濃い色をしています。
平地から山地まで幅広い環境に適応し、人の暮らしにも溶け込んでいます。全国的に繁殖する留鳥であり、本州では秋になると、何百羽ものヒヨドリが、北のものは南へ、高地のものは低地へと小規模な移動を長い帯状になって渡る様子が観察されますが、沖縄では渡りがないのでその光景は見れません…(もしかすると私が遭遇してないだけもしれないので未確認要素)。
雑食性で植物にも影響を与える
ヒヨドリは非常に食性の幅が広く、果実や種子を食べることで植物の種子散布にも関与しています。リュウキュウヒヨドリが果実を食べ、その種を運ぶことで植物の分布を広げる重要な役割を果たしていると考えられています。夏には昆虫もよく食べるそうです。
一方で、人の生活と密接に関わることから害鳥としての側面も指摘されています。特に農家にとっては悩みの種で、ミカンやブドウなどの果樹に大きな被害を与えることがあり、さらにホウレンソウやブロッコリー畑が荒らされることもあるそうです。また、小鳥用の餌台では他の小鳥を蹴散らして独占することもあり、その強気な性格がうかがえます。
鳴き声にも地域ごとの特徴がある
ヒヨドリは活発に鳴く鳥としても知られていますが、沖縄では島ごとに鳴き声の違いがあることが確認されています。特に南部の石垣島や与那国島の個体は、他の地域に比べてさえずりの周波数が低い傾向があると言われています。長い年月にわたり、それぞれの島で隔離されてきた結果、遺伝的にも分化が進んでいると考えられています。
ヒヨドリはカワセミのように水浴びをすることでも知られています。
分布は案外狭い
頻繁に目をする鳥なので、広くいるかと思いきや、実は分布の狭い鳥で、世界的には日本か韓国でないと見られないそうです。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
漫湖水鳥・湿地センター「漫湖いきもの図鑑」
国立科学博物館「鳥類音声データベース」