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No.567 老人と女子生徒の夢ロマンにほっこり

我が大分県には、「大分合同新聞」という地方紙があります。1942年(昭和17年)に「豊州新報」と「大分新聞」の二紙が合同合併し、同年4月3日に創刊されたことに拠るものです。その前身ともいえる「豊州新報」は、1886年(明治19年)の創刊であり、「大分新聞」は、1889年(明治22年)を創刊年としており、130年以上もの間、国内外の出来事を記事にし、郷土大分の日々や歴史を刻んできました。

大分合同新聞には、「立ちばなし」という読者の投稿欄があります。昨日の記事は、「7秒間のロマン」と題して佐藤源治さんが寄せられた、ほっこりするようなお話でした。全国の方々、世界でご活躍中の日本の方々にも是非お目通しいただきたく、全文紹介の暴挙に出た次第です。

「施設に入居している高齢者が朝、2階の窓から外を眺めている。すると、通学中の生徒2人と目が合った。その瞬間、思わず手を振った。『気をつけて行ってらっしゃい。勉強も頑張って』との気持ちが込められている。相手も振り返した。それはほんの7秒余り。姿はスーッと消えていった。
 彼女らにとっても、とっさの出来事だっただろう。無意識だったのかもしれない。しかし、無視をしたり、さっさと登校したりといろんな人がいる中、高齢者にとって何よりもうれしい夢の時間だったに違いない。
 次の日、30分も前から、その人はソワソワしてその時を待っていた。また同じことが繰り返された。笑みがこぼれ、昨日より嬉しさが伝わってきた。
 この出会いは、いまだに続いている。まるで互いを応援しているかのように。」

目の前で老人と女生徒の心の交流する姿が思い浮かぶお話で、ほのぼのとしており、お互いの気脈が通じ、機微に触れることで一日の活力にしている姿に心打たれるのです。高齢者にとって「何よりもうれしい夢の時間」を与えてくれる曾孫のような女生徒の存在が有り難い。人間っていいなぁ。「情愛があれば、年の差なんて!」と言いたくなってしまいます。末文の倒置法が効いています。第三者的手法で客観化している書き方が、また心ニクイ。

こんな記事を目にすることができるのも、地方紙の魅力の一つでしょうか。この話の筆者が、大分市に住む98歳の男性であることを知り、頭が下がる思いになった私です。