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No.1387 寒暖は彼岸遅れのかくれんぼ

「暑さ寒さも彼岸まで」
「暑さの果ても彼岸ぎり 寒さの果ても彼岸ぎり」
などと言われます。

 明治26年の作。子規が「もうお彼岸だというのに、いつまでも寒いね。」と言うと、子規の母は、「毎年よ、彼岸の入に寒いのは。」と応えたという。気がつけば五七五の調べであり、17文字になっている。子規は話し言葉そのままでも俳句になると思ったという。
 このような口語調の俳句は当時まだ珍しかったが、皆から受け入れられた。誰もが知っている、誰もが感じる彼岸の入らしい作品だからであろう。

松岡正剛「491夜 千夜千冊」「正岡子規の『彼岸入り』の句」2021年3月17日より

今年の「春分の日」は、3月20日でした。その前後の東京の気温を調べると
2024(令和6)年、東京の3月の気温の推移
日付 曜日 最高気温 最低気温
10日(日) 13.6℃   0.5℃ (晴)
11日(月) 13.8℃   1.8℃ (晴)
12日(火) 10.0℃   6.2℃ (雨)
13日(水) 13.7℃   7.5℃ (晴)
14日(木) 15.6℃   2.8℃ (晴)
15日(金) 17.6℃   6.2℃ (晴)
16日(土) 22.7℃   9.9℃ (晴)
17日(日) 21.7℃   9.8℃ (晴曇)
18日(月) 14.6℃   8.1℃ (晴)
19日(火) 12.4℃   3.7℃ (曇晴)
20日(水) 15.7℃   4.7℃ (晴曇)
21日(木) 11.4℃   3.5℃ (晴)
22日(金) 13.3℃   1.8℃ (晴)
23日(土)   9.3℃      2.6℃ (雨晴)
24日(日) 15.5℃   4.2℃ (曇雨)
25日(月) 12.5℃    10.8℃ (雨曇)
26日(火) 12.3℃    10.0℃ (雨)
27日(水) 16.5℃   6.0℃ (晴)
28日(木) 14.6℃   7.2℃ (曇雨)
29日(金) 22.2℃    11.5℃ (雨晴)
30日(土) 24.6℃    12.3℃ (晴曇)
31日(日) 28.1℃    12.2℃ (晴曇)
このデータによれば、東京の寒さが和らいだのは、彼岸明け1週間後辺りからだったようです。
 
また、今年の「秋分の日」は9月22日でした。その前後の3日を合わせた7日間がお彼岸ですので、9月10日~9月30日、更に10月上旬までの天気の推移を調べました。
日付 曜日 最高気温 最低気温
10日(火) 33.7℃   24.5℃ (晴曇)
11日(水) 34.2℃   26.3℃ (晴)
12日(木) 34.5℃   26.8℃ (晴)
13日(金) 33.9℃   26.5℃ (晴)
14日(土) 34.5℃   26.3℃ (晴)
15日(日) 34.4℃   27.9℃ (雨曇)
16日(月) 28.3℃   24.8℃ (曇雨)
17日(火) 33.4℃   23.3℃ (曇晴)
18日(水) 35.1℃   26.6℃ (晴雨)
19日(木) 33.6℃   24.7℃ (曇)
20日(金) 33.9℃   25.5℃ (晴)
21日(土) 32.6℃   27.9℃ (曇雨)
22日(日) 28.9℃   22.5℃ (雨曇)
23日(月) 27.7℃   20.3℃ (雨晴)
24日(火) 25.3℃   17.7℃ (曇晴)
25日(水) 23.7℃   17.9℃ (曇雨)
26日(木) 29.1℃   19.4℃ (曇晴)
27日(金) 24.8℃   22.4℃ (雨)
28日(土) 27.4℃   21.8℃ (曇)
29日(日) 25.0℃   22.0℃ (曇雨)
30日(月) 25.3℃   20.5℃ (曇晴)
2024年(令和6年)10月
  1日(火) 26.6℃   20.1℃ (曇雨)
  2日(水) 31.9℃   22.0℃ (晴曇)
  3日(木) 25.4℃   21.6℃ (曇雨)
  4日(金) 30.4℃   21.8℃ (曇雨)
  5日(土) 24.5℃   21.9℃ (雨)
  6日(日) 22.9℃   18.9℃ (曇)
  7日(月) 29.9℃   20.7℃ (曇晴)
  8日(火) 25.3℃   20.0℃ (雨)
  9日(水) 17.7℃   15.1℃ (雨曇)
 確かに、東京では秋の彼岸過ぎに一旦猛暑が落ち着きますが、10月上旬には再び30℃前後の日がジグザグに訪れました。地球温暖化の深刻な影響を受けつつある21世紀の今日、地域間の差もあるでしょうが、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉が通用しにくい時代を迎えているようです。
 
春や秋の彼岸を境に、厳しい暑さ・寒さが和らぐとされた時代、人々はその時期を待ちわびた事でしょう。暑さ寒さに堪えながら日々を過ごしていた人々には「我慢すれば、いつか辛い日が明ける」と言う意味にも解釈しながら、この時を迎えていたのかも知れません。待ちわびるような「彼岸」への思い、辛抱の日々がさらに伸び、隠れん坊をしているような昨今のお天気事情のようです。


※画像は、クリエイター・ダラズさんの、タイトル「ひつじとともに」の1葉をかたじけなくしました。過ごしやすくなりました。お礼申し上げます。