No.1154 つきづきし
今は3月に入ってすぐに行われる高校の卒業式ですが、その昔は、2月20前後に行われるのが普通でした。
忘れられないのは、2000年の2月16日に行われた高校の雪の卒業式です。記憶に間違いがないか大分気象天文台の過去のデータで調べたら、
「北北西の風 雪後曇 最低温度0,7 平均風速4,2」
とありました。やや風のある日で、卒業式の午前中に雪が降りました。「ホワイトクリスマス」ならぬ「ホワイト卒業式」に、皆が色めき立ちました。厳粛さが増しました。
「雪」は「雪(すす)ぐ」私の何を雪ぐためみぞれ静かに降ってくる朝
歌人・俵万智さんの歌だったと思いますが、高校3年間の何もかもを雪(すす)いでくれたような気持ちになった人もいたことでしょう。思い出深い天からのプレゼントでした。
万智さんは、次の句も詠んでいます。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
話しかける相手がいて、答えてくれるという何気ない行為ですが、有り難いことですね。何気なさの中に本当の幸せはあるのでしょうか。感じて生きたいと思います。
今年の2月は、例年にない温かさです。このままで終わるとは思えませんが、冬のコートに一度も袖を通さないままです。やはり「冬」は寒いのが「つきづきしく」思われます。
※画像は、クリエイター・Kobayashi muさんの「双子の雪うさぎ」の1葉をかたじけなくしました。子供の頃、雪うさぎを作るほど雪の多い年もありました。懐かしくて、思わず笑みのこぼれる1枚です。お礼を申し上げます。