No.791 うつくしいにほん
過日、講座の参加者から名前の由来をお聴きしていた時、
「紀元節の一字をもらったんです。」
と教えて下さった女性がいました。
「♪ クモニソビユル タカチホノ
タカネオロシニ クサモキモ…」
私が子どもだった昭和30年代に、2月11日が来ると、ゑい婆ちゃん(明治35年3月生まれ)が必ず歌っていたのが、この「紀元節」です。戦後、歌われなくなりましたが、婆ちゃんは、歌うことで子ども時代を懐かしく回顧したのだろうと思います。
「建国記念の日」とは、「建国をしのび、国を愛する心を養う国民の祝日」ということらしく、戦後21年目に当たる1966年(昭和41年)に政令によって定められた国民の祝日です。
とはいえ、先祖の移民により国家を建設したり、植民地からの独立や国の分断から独立して国家が誕生したりしたという史的現実を踏まえた国家創建なのではなく、神代の時代の建国なので、制定の意義に朧な感じがしないわけではありません。
それでも、いざ五輪だ、世界大会だ、アジア大会だといえば、世界の注目を浴びる外国人選手の活躍に目が行き、称賛の拍手も送りますが、やはり日本選手への声援はボルテージが上がり、日本人であることに誇りを持たせてもらったりしている自分を感じています。国旗が掲揚されれば、健闘した選手を称え、胸に迫る思いを抱きます。「君が代」を口ずさむこともあり、国を愛する心なしとはしません。
世界が、いろんな意味で身近であり狭くなっていると感じる一方で、「平和」に対する考え方や行動の違いには大きな開きや溝を感じています。21世紀に入り、脅威を感じさせる大国の論理により違和感を覚えます。
しかし、小説家・川端康成が「美しい日本の私-その序説」(1968年12月、ノーベル文学賞受賞式での記念講演)で語ったように、芸術や伝統や文化を愛する日本人の心を失わずに日々を送りたいと思いました。
「掌ほどの陽を得て冬すみれ」
佐藤幸子(徳島県)
HAIKU日本2021冬の句大賞作品
※画像は、クリエイター・araigoichiさんの1葉をかたじけなくしました。「道端で見つけたスミレ」だそうですが、撮ってくれるのを待っていたかのようなたたずまいです。