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No.1034 ゆかしき、えにし。

1980年(昭和55年)ニッカウヰスキーが「SUPER NIKKA」の CMソングを発表した時の映像は、中国・桂林地方の大自然だったそうです。歌われたのは、当時、アリスに属しながらソロ活動を行っていた谷村新司さんが作った最初のソロ・ヒット曲「昴」でした。彼が32歳の時です。
 
その43年後の今年3月に谷村新司さんは腸炎の手術を行い、以後は療養中だったといいます。「回復に向けて頑張っていた」そうですが、10日前に享年75で永眠しました。「穏やかな顔で旅立ちました」とあった公式サイトの報告を読み、彼が作詞し山口百恵さんが歌ったあの詞を思い出しました。
 
折しも、キンモクセイが芳香を漂わせています。このキンモクセイは、中国南部の桂林地方原産だそうで、江戸時代の17世紀に渡来したということを知りました。えっ、桂林地方?
 
「季節の花 300」の「キンモクセイ」のページに、次のように説明がありました。

中国語では
 ”桂”は木犀のことを指し、
 「桂林」という地名も、
 木犀の木がたくさん 
 あることに由来するらしい。
 日本では木犀といえば、
 ふつう思い起こすのは
 金木犀ですね。
 金木犀の中国名は「丹桂」。
   丹=だいだい色、
   桂=モクセイ類。

ネットの「季節の花 300」の「キンモクセイ」のページ

なんと「桂林」の「桂」は「木犀」の意味で、たくさん生えていたから「桂林」の地名となったようなのです。あのスーパーニッカのCM映像には、それらしい樹木のシーンはありませんでしたが、「昴」を歌う谷村新司とのささやかな接点を見た思いがしました。
 
キンモクセイ(桂林)の花言葉には、「謙虚」「謙遜」「気高い人」などがあるようですが、まさにそのような人に思われる谷村さんの一昨日の訃報に接し、そんな香りに見送られて旅立ったことに不思議な「縁」を感じたのでした。
 
新司様 大好きな歌ばかりのあなたの才能を惜しみ、哀悼の意を表します。
あなたの事を歌で思い出し、キンモクセイの匂いで鮮やかに思い出します。


※画像は、昨日、同僚の姫野先生が講師職員室に持参してくれたキンモクセイの1葉です。コラムを書くきっかけを与えてくれました。お礼申します。