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No.1465 焼却場5人衆

その昔、学校には独自の焼却炉があり、必要最低限のゴミはここで燃やしていました。しかし、近隣住民の声があり、市が一括してゴミの収集に当たるようになり、私が勤務するようになって、10年も経たないうちに焼却炉は閉鎖されました。この話は、まだ焼却炉が健在だったころのお話です。毎日学級通信に、そんな記事がありました。

 全校週番が、今日で終わる。校門や校舎の出入り口で挨拶運動に朝早くから参加協力してくれた生徒たちにお礼を述べたい。ありがとう!
 特に、毎朝礼・毎終礼時に焼却場で「灰出し」「ゴミ収集」「ゴミの焼却」に携わってくれた5人の男子生徒には、その労の多さ・大きさにも関わらず、愚痴一つこぼすことなく、最後まで惜しみなく手助けしてくれたことに大変感謝している。
 焼却炉担当のО先生は、渾名を「ケチョン」と言い、心無い生徒とみたら「ケチョンケチョン」にけなし、叱咤するのを得意とするところからの渾名だが、
「とても良く働いてくれ、明るくて良かった!老人を大切にすれば、必ずいいことがあると話しておいたので、担任としてひとつヨロシク!」
と、何やら謎かけめいた話をされた。頑張った人が評価されないようなことは絶対にしないので、ご安心を。ケチョン先生!

全校から集まるゴミの量は、数十クラスの教室、4つの職員室、体育館や理科室や音楽室や家庭科室や美術・工作室や保健室やバスの停留所、その他にゴミ箱があり、かなりの量になります。掃除の20分間がタイムリミットなのですが、担当の生徒たちは終礼に間に合わず、部活にも遅れることになりましたが、周りの者たちの気遣いに支えられていた様子です。感謝あるのみでした。ゴミは焼却しましたが、人の役に立つ大事なものが心に残った気がします。

現在、幸か不幸か、そんな生徒たちの姿はなくなりました。


※画像は、クリエイター・紺 をのへさんの「焼却炉」の1葉です。もう二回りほど大きかったのですが、そうそう、こんな形の焼却炉でした。子どもたちの顔が思い浮かぶ程、よく似ています。歴戦の勇士のような姿に見えます。お礼申し上げます。