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No.1423 みをつくし

「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。
今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である。(以下、略)」
今から113年前の1911年(明治44年)10月、文芸誌「青鞜」創刊号に掲げた平塚らいてう(1886年~1971年)の歴史的宣言の初めの言葉です。
 
しかし、原始どころか現在でも、女性は実に太陽のような輝きを発しています。しかも、太陽は一つではなく、様々な個性をもって光を投げかけて下さる温かい存在であることを、私は「ひきつりひっぱり」(縁による繋がり)のお仲間5人衆に観ています。
 
一昨日、92歳になるS子姉の肝煎りで、70歳を迎えられたY子さんを囲む「古稀」の会が催されました。急な催しでしたが、皆の都合もあり、この日となりました。
 
Y子さんは滅私奉公の人です。自分のことよりも人のために身を尽くす、まさに地元「津久見(尽く身)」の生き神様のような方です。何でもよく気が付き、すぐに実行します。並々ならぬ気づかいに、人への愛を観ます。大きな包容力を観じています。
 
そのY子さんには、2年前に突然幽明境を異にされた畏友がいました。お誕生日が5日しか違わない子供の頃からの親友でした。「古稀」の祝いの席で「T枝さんも今年70歳になるはずだったので、開会の時に紹介してほしい。」とY子さんから頼まれました。そんな心遣いをなさる人です。私たちは、彼女の目となり、耳となり、口となり、舌となって、その感動を分かち合いました。トップ画像は、その食事会の1葉です。
 
「人生七十古来稀なり」
と七言律詩「曲工」で歌ったのは、中国の詩人杜甫(712年~770年)です。「国破れて山河在り」で始まる「春望」の漢詩でも有名な「詩聖」です。その「曲工」の一節から、70歳を「古稀」と呼ぶようになったと言われます。しかし、「人生七十古来稀」と歌ったように、彼は60代を超えることも出来ませんでした。
 
杜甫の時代から1300年が経ち、「人生100年時代」を標榜する世の中になりました。2023年(令和5年)の9月1日時点で、日本の100歳以上の人口は9万5119人だったそうで、54年連続で過去最多を更新しています。性別では、女性が8万3958人で、全体の88.3%を占めていました。
 
2023年の日本の総人口は1億2435万2千人だったそうですから、100歳人口は0.076%ほどですが、54年連続で過去最多を更新し続けているそうです。

しかし、誰もが100歳を迎えられるわけではないことを毎日の新聞の「お悔やみ欄」が教えてくれます。それでも、私たちは幸せな時代を生きられていると考えます。年を取るから幸せなのではなく、幸せに年を取ることを大事にして生きたいと思います。
 
Y子さん、ようこそ我々の世界へ!そして、勧進元となって下さったS子姉さん、有り難うございました!