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No.939 昨夜の夢を覚えていますか?
「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを」
(『古今和歌集』巻第12、恋歌2、552番、「題しらず」)
「あの人のことを思いながら眠りについたから夢に出てきたのだろうか。夢と知っていたなら目を覚まさなかったのに(夢とは知らずに目覚めてしまったよ!)」
平安時代前期、9世紀頃の女流歌人・小野小町はそう詠みました。
私は、夢の中で夢だと気づいたことは無く、子供時代から、いざ美味しいものを食べる段になって大きく口を開けてガブリとかぶりついた途端、空を噛んで目が覚めるといった具合でした。ところが、世の中には、恐れ入るような御仁もいるものです。夢に出てきた食べ物をちゃんと食べることが出来るといいます。さすがに「お代わり!」の注文はしたことがないそうですが、うらやましい限りです。
中には、「夢の続きを見られる」という猛者もいます。「根性で見ます!」とのことでしたが、もし、小野小町にその方法を伝授出来たなら、きっと泣いて喜んでくれたことでしょう。小町が生まれる時代が早すぎたのか、「夢の続きが見られる」と言う彼の生まれる時代が遅すぎたのか?そんな彼の夢の第一幕が終わる際には、「To be continued. (この続きはまた後で)」と字幕が出てきたりするのかなと思ったりもします。
もう数十年も前のある夜のことです。
私は、漫才師として相方と組んで、若手の漫才コンクールに出場することになりました。ところが、どんな話にしたらよいか、ネタがなかなか決まりません。台本は、私の担当です。時間は、刻々と迫って来て、遂に出番を迎える時になっても完成しないまま高座に上がる羽目になってしまいました。「ああ、もうダメだぁ!」と思った瞬間、目が覚めました。
学園祭のクラス展示の進捗状況が気になっていたのですが、こんな形で夢に現れてしまったようです。強迫観念がしでかした悪戯だったのでしょうか?
ところが、そんな誰かさんとは違い、めっぽう本番に強いうちの子たちは、担任の心配をよそに全員の力で展示(800枚のハガキにバルセロナオリンピックで日本記録を出した林享選手の100m平泳ぎの力泳の写真を壁画に模した作品)を完成させてしまいました。いざとなった時の生徒たちの可能性と団結力は魅力的です。私は、嬉しい発見をしました。
※画像は、クリエイター・taiinさんの、タイトル「イルカと」をかたじけなくしました。カナヅチの私には、夢のような1枚です。お礼申し上げます。