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No.1386 秋の夕暮れ?

みなさん、電話は用件が終わったらサッサと切るほうですか?それとも、相手が切ったのを確認してから切るほうですか?

御家老は、ご壮健でした。
昨日の午前7時半前のことです。携帯電話が鳴りました。電話の主は、3年前に非常勤講師の仕事を辞めた75歳になる先輩からでした。自分時間を大事になさる方です。
 
3年越しなので、何かあったのかな?と、ちと不安がよぎりましたが、全くの杞憂でした。退職教員への業務連絡、いや、お知らせでした。「一献、傾けようよ!」

つい先日、先輩同僚をお見送りしたばかりです。それゆえに、コロナ禍で中断していた退職者交流会を復活させ、昔なじみ達と旧交を温めたいと急に思い立ったのでしょう。

私にも、気になる先輩がいらっしゃるので、有り難くお誘いを受け、
「では当日!連絡ありが…。」
と返事をしていた時に、
「お父さん、車が前に出過ぎよ。どうしたの?」
と奥方の詰問する声が聴こえて来ました。
「ん?いやぁ、いろいろあってね!」
「何がいろいろなの?周りの人の迷惑になるでしょ!」
「んー、分かった、分かった。ゴメンヨ…。今、動かすから!」

御家老は、私との会話の終わる寸前で、奥方からの鋭いツッコミを受け、スマホの電源を切り忘れ、その声を気の弱い私が、漏れ聞くことになったのです。

しかし、隣の家の庭をのぞくことはあっても、夫婦の会話をいつまでも聞いているほどこちらも暇ではありません。いや、暇があったとしても、聞き続けようとは思いません。多少の緊張感ある会話でしたから、
「本当に、興味がわきませんでしたか?」
と問われれば否定はしません。(せんのかい?)しかし、そこは、髪が薄くなったとはいえ紳士の私です。後ろ髪をひかれながらも、(引かれるんかい?)聞いたのはそこまでで、すぐに電話を切りました。本当に切りました。絶対に切りました。誰が何といおうとも切りました。(強く否定するところが、逆に怪しい?)

「壁に耳あり、障子に目あり」
もちろん、この夫婦のやり取りは内緒の話ではありませんが、いつも女神のような笑顔で話してくださる奥方とは別人の感があったこと、瞬時にして「御家老」の地位がいつの間にか失墜していたことなどを知りました。いずこも同じ秋の夕暮れ?

昨日のこの件から、何でも忘れっぽくなった私の脳天に活が入れられた気がしました。
「電話の切り忘れにご用心!」
先輩のお陰で、朝っぱらからそんな学びがありました。
 


※画像は、クリエイター・monicaさんの「空のイロ.」の1葉をかたじけなくしました。夕焼けの色がとても印象的です。お礼を申し上げます。