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No.545 身につくものは、ぜい肉ばかりではありません

「ビーチテニス」とは、文字通り「ビーチバレー」と「テニス」の特性を併せ持った競技だそうです。この新しいスポーツで世界一を目指しているのが、本間江梨選手です。もともとバレーボール選手として活躍し、世界のリベロと称賛されたこともあります。その後、彼女はビーチバレーに転身し、現在は、ビーチテニスに挑戦の場を移しているといいます。「常に変化を求め、世界一になる事を目標」にする生き方のモットーがあるようです。

その昔、その江梨さんのホームページ「エリズ・エッセイ」に、こんなことが書かれていました。
「(略)そうそう、誰かがおっしゃってたけど、人は悲しいときシクシクと泣き、笑うときにはハハハハと笑う。シクシク4×9=36、ハハハ8×8=64、泣くのと笑うのを足して丁度100!素晴らしい!なんだかんだ言っても、人生って笑える事、楽しい事の方が多いじゃん!!そう思うと、何か楽しくなっちゃう!」
と。そして、さらに、
「辛さや苦しさから目を外してはいけない。調子のよいときには気づけない『宝』があるから。」
とも述べていました。

今から20年近く前の随想ですが、若くしてイタリアやロシアに出てバレーボールの武者修行をした彼女は、リベロの立場を通して、体で感じ取った哀歓を明るく綴りました。そこに、スポーツマンらしい潔さや、上昇志向や、諦めたりへこたれたりしない強さや、自らを快活に叱咤激励する人柄が見えて、読むだけで元気を与えてもらえたのです。

「四苦八苦」は、四苦(4×9=36)、八苦(8×9=72)で、合わせると煩悩の数の108となるなどと説明したのは、大昔のお坊さんではないかと勝手に推測しています。この「シクシク、ハハハ」の発想も、人生哲学のような説得力があり、その方面か、その世界の人物が考え出した名言なのかもしれません。最初に言った人が誰だか、ご存知ですか?

ネットでは、そんな味わいのある言葉を、茶化してみたり、足を引っ張ってほくそ笑んだりする輩がいるようです。それぞれの人生の真実に立ち向かう言葉として活かされるなら、それは間違いなく生きた言葉だと思います。他人の心無い言葉などに微塵も揺るがぬものでしょう。それこそが、自らの体験で良きにつけ悪しきにつけ身につけたものだと思うからです。身につくものは、ぜい肉ばかりではありません。