見出し画像

No.1522 かわいい私設図書館

昨日の13時ごろ、小さな小さな「絵本図書館」を訪問しました。

「こんにちは!」
ガラリと玄関を開けると、正面に、「第29回日本絵本賞大賞」と「第71回産経児童出版文化賞 産経新聞社賞」をダブル受賞した絵本『ゆうやけにとけていく』(ザ・キャビンカンパニー、小学館、2023年)のほか、同じくザ・キャビンカンパニーの『ほこほこのがっこう』(小学館、2015年)・『どうぶつのパンパン』(白泉社、2019年)、そして、昔懐かしい紙芝居舞台(用具)が出迎えてくれました。
 
8畳ほどの、ゆったりとくつろげそうな畳の部屋で、主のFさんが、椅子に座って読書中でした。Fさんは、文化教室の古典講座のお仲間です。

大分市の花高松公民館(花高松2丁目3-17)隣に、この可愛い「絵本図書館」があります。部屋の右手の書棚には、Fさんが個人で集められた約350冊の絵本が整然と並べられています。いつしか増えた絵本を、自宅にしまい込んだままでは忍びないと、2024年4月からこの場所を借り、隔週の第2第4土曜日、12時から16時まで開館しています。
 
Fさんは、2014年から仲間たちと日岡中央公民館で「読み聞かせの会」にたずさわった経験もあるそうです。孫のような子どもたちに、絵本の世界の楽しさ面白さを知って貰えたらと手元にあった絵本を、貸し出すことも可能な絵本図書館として命を吹き込みました。
 
ちょうど通りの斜向かいに「児童公園」があり、遊びに来た子供たちが立ち寄るそうです。昨日は寒かった上に強い風が吹いていたので、子どもさんの姿はありませんでした。
 
部屋の壁に立てかけてあった人形の絵を「ペープサート」と言うのだと教えて貰いました。紙に描いた人形を棒で動かして演じる人形劇を言うそうです。「Paper Puppet Theater(ペーパー・パペット・シアター)」を短縮した「紙人形劇」の和製英語が「ペープサート」で、「ペープサイド」と呼ばれるということを帰ってから調べて知りました。何とも刺激的なお部屋です。

楽しい発見や感動が、静かにその時を待っているようでした。この記事を読んでくださったお近くの方々が一度足を運んでいただけるならと思い、紹介させて頂きました。

傘寿を過ぎたFさんですが、老いを感じさせない心意気の高さに敬意を覚えます。自分の時間を子どもたちのために差し出して、じっと訪れを待ち、それを心の潤いにしています。なかなかできないことだと思いますが、それがFさんの人生の楽しみの一つになっているようです。「畏れ」という言葉は、このような人のために生まれてきたのだと思いました。小さな絵本図書館が、子どもたちの大きな夢につながっているように思いました。
 
近年は「大人の絵本」なるものもあるようですが、子どもの頃に読んだ絵本でも、大人になった今改めて読み返してみると印象も感動も新たなものがあるのではないかと思います。
「子ども抜きでも楽しめる隠れ部屋」に、一度おいでになりませんか?
 
「あたたかや絵本見る児のひとりごと」
俳人・登山家 福田蓼汀(りょうてい、1905年~1988年)