見出し画像

No.1004 今日も、飲んでますかー?

『わかもとの知恵』(筒井康隆著、きたやまようこイラスト、金の星社、2001年7月15日刊)を読んだのは、2001年(平成13年)9月のことです。オモローな一冊でした。
 
TVの「伊東家の食卓」(1997年10月~1998年9月、日本テレビ)などに代表される「裏ワザ」を「知恵」に置き換えたような本です。102もの「目からウロコ」のような興味ある話が随所にちりばめられており、一気に読むことができました。
 
その「商品説明」には、次のように親切で分かりよく書かれてありました。

 「おぼえておくと一生役に立つ」知恵を102個集めたのが『わかもとの知恵』だ。「強力わかもと」の昭和初期の付録「重宝秘訣絵本」を著者は愛読しており「近ごろ、ああいった子どもが読める知恵本がない。ないなら自分が編集してつくろうか」と思ったところから本書は生まれた。
 「出そうなあくびを止める知恵(舌で上唇をなめる)」や「蚊に刺されない知恵(夏ミカンの汁をぬる)」などからだに関する知恵、「とけにくい氷をつくる知恵(水でなくお湯から作る)」など食べ物に関する知恵といった、子どもの生活や身の回りのためになる知恵が盛り込まれている。その意外性に驚いたり、なるほどと納得するものばかりだ。
 「~だよ」「~だからねっ」という筒井の親しみやすい文に添えられた、きたやまようこのイラストがかわいらしく、絵本感覚で読み進めることができる。たまに、子どもに関係ないのではというような「ビールビンの栓をぬくときの知恵」や、何のために?と思わせる「ビンの中の液体をはやく出す知恵」など、ちょっと変わった知恵が登場するのもおもしろい。
 各章の終わりに掲載されている著者と、きたやまようこの対談「ほのぼのトーク」も見逃せない。知恵の話から脱線し、おもしろいエピソードが続々飛び出している。巻末には「おためし隊」による体験レポートを掲載。知恵の信憑性について先回りしてためしているのがこの本の親切なところ。小学生から大人まで役立つ本だ。(七戸綾子)

出版社の商品説明より

「わかもと製薬会社」の創業は1929年(昭和4年)です。その創業者は長尾欽弥氏等で、若本でも、若元でも、和歌本でもありませんでした。その名前の由来は、

 栄養状態の悪かった戦前の日本で、国民の健康を維持するために、東京帝国大学農学部の農芸化学者・沢村真氏の協力を得て、日本で初めてビタミンやミネラル、アミノ酸を豊富に含むビール酵母を錠剤に加工し、若さの素「若素(わかもと)」という名前で発売したのが始まり。

Wikipediaより

とのことでした。「日本人を元気にしたい!」という思いに溢れた錠剤(元気玉)だったのでしょうか?「若素」は、1931年(昭和6年)に、ひらがなの「わかもと」に変更されたそうです。

子どもの頃、我が家にも褐色の瓶「わかもと」(300錠入り?)があったことを思い出しました。指定医薬部外品だそうですが、当時の大人たちは、今でいうサプリメントのような感覚で飲んでいたのかも知れません。
 
さて、『わかもとの知恵』を読んでみると、有名な知恵も含まれていましたが、随分役立ちそうな知恵もあり、それらが肩肘張らぬ平易な文章で要領よくまとめられています。
 
わかもと製薬が企画・協力をしているので、筆者とスポンサーとの近すぎる関係は明白です。しっかり(ちゃっかり?)「わかもと」のCMも忘れていないところなど、実に堂々としており、変に嫌みがないように思われました。皆さん、飲んでいますか?
 
このお話は、四半世紀近くも前の学級通信の記事に手を加えたものです。ヘーボタンを乱打したことでしょうが、すっかり遠い記憶になっていました。そういえば、物覚え(物忘れ?)の頁、あったかな?