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No.1502 大豆、こわい!

「鬼は、外―!福は、内―!」
歳は取りたくないものです。節分の豆を歳の数だけでも大変なのに、1個余計に食べなければならないからです。その数73粒。
「大豆、こわい!」。
恵方の巻き寿司を先に食べておいて良かったー!

節分の日に歳の数、更に年齢プラス1粒食べると、病気を避け長生きするとか言われます。 大豆は米と同じエネルギー源で、霊力を持つとされる豆をまくことで、病や災いを祓い、更にその豆を食べることで力をいただけると考えられたからだと、カゴメ株式会社のHPから教えられました。

節分が来ると、2年前に死んだ愛犬チョコを思い出します。カミさんが「福は内―!鬼は外―!」と声を張り上げて豆を撒き、すぐに戸を閉めます。翌朝、玄関やら、玄関前の階段やら、道路に散らばった大豆を、カラスと争うようにチョコが尾を振りながら自分の年齢以上の数を食べます。大豆には犬の体によくない有毒成分は含まれてないので、炒った大豆は安心して与えることができるそうです。その姿を鮮明に思い出すのです。私には、有り難い行事でもあります。
 
1447年(文安4年)の「臥雲日件録」(「がうんにっけんろく」=京都相国寺の瑞渓周鳳の日記)には、「散熬豆因唱鬼外福内」(熬り豆を散ずるに因り、鬼は外、福は内と唱ふる)とあり、「鬼は外、福は内」の掛け声は、室町時代に既に見られるといいます。われわれも、その流れを汲んで行事に親しんでいます。ところが…。

「鬼は、内―!福は、外―!」
江戸時代に始まったという京都府福知山市三和町大原の大原神社での節分祭の豆まきの掛け声は、一般的なわれわれとは正反対です。神社には、
①ちまたにいる悪い厄(鬼)を神の力で改心させるために、神社の内に迎えいれて(鬼は内)、改心して福となったものを地域の家に出す(福は外)という行事になった。
②昔、綾部藩の領地だった「大原神社」の当時の領主が「九鬼氏(くきし)」で、名前に「鬼」が付いていることから、「鬼を外に追いやるわけにはいかない」と、「鬼は内、福は外」の掛け声になった。
と伝わるとか。併せ技でしょうか?でも、素晴らしい発想に「ほ」です。

悪い者は追い出し、良い者を招き入れたいというのが、人の本音でしょう。人の世で、いかにもありがちな精神風土です。しかし、福知山の大原神社では、悪いものを受け入れ、改心させ福として家々に送り出そうといいます。ちょうど、悪さした人を更生させて世に送り返す施設の精神にも通じます。本当の鬼は、人の本音の中にもいるのかもしれません。我欲な鬼が…。
私も、そんな一人なのでしょうね。
「大豆、こわい!」。


※画像は、クリエイター・てっちゃんさんの「おマメちゃん」の1葉をかたじけなくしました。「でも、イザっていう時に護ってくれるなら、オニさん入ってもいいよ。」の説明付きです。護ってくれる鬼、イイですね!お礼を申し上げます。