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No.684 パタカラ君が、こんなところに!

「オーラルフレイル」とは、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えることで、誤嚥を引き起こす老化のサインだと言われています。今や、私もオーラル君に仲間入りできそうです。
 
「パタカラ体操」とは、そんな誤嚥を防ぐための訓練法の一つだそうです。どこの、誰が、唱え始めたものやら?すでに全国の多くの機関や施設で積極的に取り入れられていることがネットの記事で知られます。加齢に伴い筋肉が弱ってくると、口周りの筋肉や舌の動きが鈍くなることは、私も実感しています。パタカラ体操は、口や舌の発音による運動ですが、誤嚥を防ぎ、食べ物を上手にのどの奥まで運ぶための改善策です。
 
「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで食べる為に必要な筋肉をトレーニングします。「パ」・「タ」・「カ」・「ラ」と1音ずつ発音する方法もあれば、「パパパ……」「タタタ……」「カカカ……」「ラララ……」、「パタカラ、パタカラ……」のように連続して発音する方法もあるようです。私は、これを呪文のように唱えてながら犬と散歩しています。
 
面白いものに「パンダの宝物」という語句を、ハッキリと早く「パンダのたからもの、パンダのたからもの……」と発音するやり方があることを知りました。また、「クイズ形式パタカラ体操」というのもあって、「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字について、その文字から始まる言葉を順次挙げていくのだそうです。みんなで楽しめる遊びとして興味深く思われます。
 
また、今から四半世紀も前の1997年に、パタカラ体操に学び、「パタカラ」というマウスピースのような器具を発明されたのが、秋広良昭という歯学博士です。口にくわえて口の周りの筋肉を鍛える器具ですが、脳梗塞の後遺症のリハビリの為に開発されたものだそうです。これも有益な矯正医療器具だと思いました。
 
さて、『英国王のスピーチ』(原題:The King's Speech)は、2010年のイギリス・オーストラリア・アメリカ合衆国の歴史ドラマ映画です。
「幼いころから吃音に悩まされていたジョージ6世は、何人もの言語聴覚士の治療を受けたが改善の兆しはなかった。そんな彼のために、スピーチ矯正の専門家であるライオネルを頼る妻のエリザベス。そしてライオネルは、次々と風変わりな治療を実践していく。」
というものです。
 
ジョージ6世は、先月みまかられた女王・エリザベス2世の父親です。まだヨーク公アルバートと名乗っていた1925年(大正14年)、ウェンブリースタジアムでの大英帝国博覧会閉幕スピーチを行ったのですが、吃音の上に緊張のあまり、言葉がうまく出ずに聴衆を失望させるところから始まります。その彼のスピーチの直前に、BBCのアナウンサーが念入りに喉の調子を整え、マイクの前で発音の練習をした後、厳粛にヨーク公の紹介をするところが対照的でもあります。

その発音練習の時に、な・な・な・な・何とアナウンサーが「パパパ、タタタ、カカカ」と早口に喋りました。あらま?「パタカラ体操」の原型がこんなところにあったのかぁ?と何回かビデオを巻き戻して聴いちゃいました。

もちろん、1925年の当時、BBCのアナウンサーが「パ・タ・カ」の発声練習をしたのかどうかは不明ですが、時代考証もそれなりにやっていたでしょうから、日本各地で行われている「パタカラ運動」は、必ずしも純粋な国産ではないのかも知れないなと思い始めた次第です。

どなたか、「パタカラ」・「パタカラ運動」の由来や、それを始めた最初の人について、私の疑問にお付き合いいただけたら幸甚です。

※画像は、クリエイターまるこ – lebeaujaponさんの、タイトル「みんなのフォトギャラリー用/20180805」をかたじけなくしました。お礼を申し上げます。