No.882 ボランティアの皆様のお陰です!
幕末から明治にかけて政治家であり軍人であった西郷隆盛という人物の景色の大きさを、この一言によって改めて強く感じた私です。
私的な意訳ですが、このように解釈しました。
「命をもかえりみない、名誉だって要らない、官位も金も受け取ろうとしないような人は、(まことに)始末におえず、どうしようもないものです。(しかし、)このような始末に困る人でなければ、(幾多の)重大な懸案や課題に対し、共にこの国やこの世の中や社会の諸問題や難局を乗り切ることは出来ないのです。」
国家百年の計を論じ、まつりごとの出来る人物をこそ望んでいたのが、西郷さんご本人だったのかもしれません。ところが、西郷亡きあとの約150年間、私たち国民は、自らの命を惜しみ、名誉にこだわり、官位や金を欲する魑魅魍魎が憑依したとしか思われない政治家のトップ争いばかりを見せつけられてきました。それは、世界のトップたちのスタンダードなのでしょうか?
さらに西郷さんの遺訓は、次のように続いていました。
これも、私的に訳してみました。
「しかしながら、このような人物は、俗世に生きる一般の人の眼では見ぬく事が出来ない、と(西郷さんが)言われるので、(話を伺っていたものの一人が、)それなら(中国の儒家の)孟子の書に『 仁徳に溢れる人は慈しみの広い心をもち、正しい規範にのっとり、道理にかなった生き方をするものだ。志がかなって用いられれば、天下の人々と正しい生き方を行い、志がかなわなければ、自分一人でもこの生き方を行う。たとえ冨や地位で誘惑したとしても、その心を動かすことはできない。どんなに貧乏で低い地位にあっても、その志を曲げさせることはできない。また、どんな権威や武力でおどしても、屈服させることはできない。』と言っておるのは、今、仰せられたような人物の事ですかと尋ねたら、(西郷さんは、)いかにもそのとおりである、本当に正しい道を行う人でなければ、そのような精神(気象)は得られないのだ(と答えられた)。」
国民の期待する政治家の像は明らかです。こんなに優れたやり取りを記録した「遺訓」があることをご存じの政治家は、少なくないと思います。「読書百遍」されたのなら、議員バッジをつけ、高額の給与と手厚い待遇を受けることに汲々としてはおられないと思います。この国の政を任せたいと願う国民の気持ちを、虚心坦懐に思いやって頂きたいのです。
この「青空文庫」(ネット上の電子図書)の「遺訓 西郷隆盛」については、最後に次のように書かれています。こうした人々の奉仕のお陰で、尊い教えに学ぶことが出来ました。
私は、そのボランティアの皆様のお骨折りに対し、心からの敬意を表したく思います。
※画像は、クリエイター・ゆゆゆさんの、タイトル「鹿児島」の「西郷隆盛像」をかたじけなくしました。西郷さんが見据えているのは、鹿児島や日本や世界の行く末でしょう。その眼には、どう映っているのでしょうか。