No.1335 克己あれ 克策あれ
「昔は、こんなに暑くなかった!」
の言葉は、本当なのでしょうか?
気象庁の「日本の平均気温の月平均値」の推移表(1875年~2024年8月までの149年間)の1月~12月までの平均気温をプリントアウトし、10年単位で、その平均気温の差を調べてみました。10年単位には「区切りが良い」以外の意味はなく、むしろ、明治・大正・昭和・平成・令和と言った時代区分による温度差を見ることも必要かと考えています。
とりあえず、1875年(明治8年)以降の6月・7月・8月・9月の10年単位の平均温度を電卓片手に算出してみました。その温度の推移を見てやってください。(顕著な数字をゴチックにするとか、網掛けに出来ると良いのですが、その腕がありません。スミマセン。)
◆1875年(明 8 )~1884年(明17)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.5 24.8 25.5 22.0
◆1885年(明18)~1894年(明27)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.9 24.6 25.9 22.3
◆1895年(明28)~1904年(明37)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.3 23.3 25.4 21.9
◆1905年(明38)~1914年(大 3 )
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.3 23.7 24.8 21.0
◆1915年(大4 )~1924年(大13)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.5 24.9 25.9 22,5
◆1925年(大14)~1934年(昭9 )
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.6 24.7 26,3 22.2
◆1935年(昭10)~1944年(昭19)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
21.3 25.6 26.4 22.9
◆1945年(昭20)~1954年(昭29)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
20.7 24.7 26.5 22.9
◆1955年(昭30)~1964年(昭39)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
21.6 25,7 26.7 23.0
◆1965年(昭40)~1974年(昭49)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
21.4 25.0 27.2 22.7
◆1975年(昭50)~1984年(昭59)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
22.0 25.2 26.7 23.2
◆1985年(昭60)~1994年(平6 )
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
21.8 25.2 27.1 23.8
◆1995年(平7 )~2004年(平16)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
22.4 26.6 27.4 24.1
◆2005年(平17)~2014年(平26)
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
22.7 26.5 28.1 24.6
◆2015年(平27)~2024年(令6 )
6月平均 7月平均 8月平均 9月平均
22.6 26.6 (28.0) (23,9)
のような推移の結果となりました。
このように見ると、緩やかに気温が右肩上がりしているように見えますが、手元の資料から、私の生まれた昭和28年(1953年)と70歳の時の令和5年(2023年)の月別平均気温だけを並べてみると、
6月 7月 8月 9月
1953年 20.6 24.7 25.0 22.2
2023年 23.2 28.7 29.2 26.7
と70年間で3℃前後も上昇していることが知られるのです。年によっても月によっても、その平均は一様ではありませんが、どうみても上昇傾向を否定する数字ではありません。
更に、気象庁が発表している「東京(東京都)日平均気温の月平均値(℃)」によると、
月平均で28℃以上になった最初の年は、な・な・なんと、
1937年(昭和12年)8月 28.2でした。その後、
1947年(昭和22年)8月 28.0
1962年(昭和37年)8月 28.1
1967年(昭和42年)8月 28.0
1973年(昭和48年)8月 28.5
1978年(昭和53年)8月 28.9
1984年(昭和59年)8月 28.6
1990年(平成 2年)8月 28.6
1994年(平成 6年)8月 28.9
そして、ついに月平均29.0度を超える年が到来しました。
1995年(平成 7年)8月 29.4がそれです。今から29年も前のことです。
1999年(平成11年)8月 28.5
2000年(平成12年)8月 28.3
2002年(平成14年)8月 28.0
2005年(平成17年)8月 28.1
2007年(平成19年)8月 29.0
2010年(平成22年)8月 29.6
2012年(平成24年)8月 29.1
2013年(平成25年)8月 29.2
2018年(平成30年)8月 28.1
2019年(令和 1年)8月 28.4
2020年(令和 2年)8月 29.1
2023年(令和 5年)8月 29.2
以上のように見てくると、予想以上に暑い年があったことを私たちが忘れているのですね。それにしても、明らかに気温上昇の傾向が早まってきていることは、この一事を見るだけでも明らかなように思います。
この温暖化傾向の原因として、
「地球は太陽に温められ、太陽から受けすぎた熱は宇宙に放出される事でちょうどよい環境が保たれてきました。 しかし今、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれるものが増え、宇宙に出ていく熱を捕まえてしまい、放出されなかった熱によって地球の温暖化がどんどん進んでしまっています。」
との説明がありました。経済活動に伴うCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスの排出量増加に要因があり、2050年頃には世界の平均気温は1.9~3℃上昇すると予測されています。
「命の危険なレベルの暑さです」の文言が風物詩になるくらいに飛び交う夏の日々です。実は日本だけではなく、
「中国国家気候センターは(8月)4日、国内の平均気温が過去70年間、世界の平均気温を大幅に上回るペースで上昇しており、今後も大幅な気温上昇が続くとの見通しを示した。」
「気候変動は、すでにロシア国内においても影響を感じ取ることができよう。2019年のロシア国内の平均気温は1961年-1990年の平均気温よりも2.7度高く、また1976年-2019年における10年間平均気温上昇は0.47度であり、これは同期間の世界全体における平均気温上昇(0.18度)の約2.5-2.6倍の速さである」(京都大学経済研究所、山脇 大、「ロシアにおける気候変動政策のステークホルダー分析」2020年より)
の指摘がある通りで、中国やロシアの大国の元首や大統領は、その事実を明らかに知っているはずなのです。
戦争以前に、人々とそこに住む地球を世界レベルで救う対策が練られてこその国家の首長だと思います。100年の大計を善行で名を残すのか、愚行で名を残すのか?
「国策」が「酷策(哭策?)」でなく「克策」となるように、「国」は「地球」の代名詞であるようにとの願いを込めたいと思います。国の長の克己・克策を!