No.972 「シルバー川柳」拾い読み(その1)
「シルバー川柳」とは、「公益社団法人 全国有料老人ホーム協会」が、設立20周年記念事業のひとつとして、2001年(第1回)に公募を開始しました。今年で23回目を迎えます。
私は、第1回(2001年)~第22回(2022年)までの全入賞作品を読んで、特に気になったり気に入ったりした川柳を紹介したいと思いました。とはいえ、一人合点の極みであり、まさに「石が流れて木の葉が沈む」・「無理が通れば道理引っ込む」の世界です。独断と偏見に満ち満ちた選出ですが、いずれ劣らぬ力作ぞろいですので、いささかも瑕瑾となることはあるまいと思います。夏の喉の渇き、心の渇きを、川柳で潤すことは出来ないものでしょうか?
第1回(2001年)応募数:3,375作品
「なってみりゃあの年寄りは偉かった」
(神奈川県 61歳 男性)
第2回(2002年)応募数:6,649作品
「耳遠くあの世のお呼び聴こえない」
(新潟県 81歳 男性)
「いつもビリ天国行きもビリで良し」
(長崎県 79歳 男性)
「あれはそこそれはあそこにちゃんとある」
(新潟県 60歳 女性)
第3回(2003年)応募数:11,019作品
「口喧嘩相手なくして日の長し」
(京都府 76歳 女性)
「それあれで通じるまでの幾山河」
(広島県 61歳 女性)
第4回(2004年)応募数:14,127作品
「来てやった貰ってやったで五十年」
(群馬県 75歳 男性)
「妻の愚痴お茶と一緒に軽くのむ」
(福岡県 63歳 男性)
第5回(2005年)応募数:12,096作品
「年だもの最後だわねとまたハワイ」
(福岡県 54歳 女性)
第6回(2006年)応募数:7,466作品
「ホームとは人間模様の万華鏡」
(大分県 80歳 女性)
「医者と妻急にやさしくなる不安」
(山口県 72歳 男性)
第7回(2007年)応募数:7,202作品
「食べたこと忘れぬように持つ楊枝」
(奈良県 54歳 男性)
第8回(2008年)応募数:8,840作品
「あの世ではお友達よと妻が言い」
(石川県 64歳 男性)
「亡き妻と朝は分け合う健康茶」
(神奈川県 89歳 男性)
「年寄りに渡る世間は罠ばかり」
(東京都 63歳 男性)
第9回(2009年)応募数:10,558作品
「五十年かかって鍋と蓋が合う」
(秋田県 76歳 男性)
「バラに似て妻も花散りトゲ残し」
(大阪府 65歳 男性)
第10回(2010年)応募数:10,759作品
「『アーンして』むかしラブラブいま介護」
(愛知県 63歳 男性)
「食っちゃ寝て豚ならとっくに出荷済み」
(福島県 83歳 女性)
「味のある字とほめられた手の震え」
(新潟県 70歳 女性)
第11回(2011年)応募数:9,441作品
「『いらっしゃい』孫を迎えて去る諭吉」
(大阪府 63 歳 女性)
「目には蚊を耳には蝉を飼っている」
(大阪府 67歳 男性)
「万歩計半分以上探しもの」
(大阪府 68歳 男性)
本日の「シルバー川柳」拾い読み(その1)では、2001年(第1回)から2011年(第11回)までの受賞作の内、特に心の振れ幅の大きかったものを紹介しました。笑わせられるものばかりではなく、ホロリと泣けてくるものもあり、自分の人生を観照してしまいます。雄弁に、自分・人生・生活・自然・心を表白できる「川柳」の懐の深さに「ほ」の字です。
明日は、2012年(第12回)~2022年(第22回)までの好きな作品を「拾い読み(その2)」としてご紹介させてください。どんな「シルバーの心」に出合い,、心を揺すぶられ、心を叩かれるのでしょうか?
※画像は、青柳 政孝 (Aoyagi Masataka) _画像投稿用さんの1葉をかたじけなくしました。タイトルに「AI生成画像 『水たまりの横に柳の木がある。柳の枝が水溜まりの上に垂れ下がっている。雨が降っている。小さなカエルが1匹水たまりから柳の枝に飛びつこうと下から上へジャンプして体を伸ばしている。』」とありました。メッセージ性を感じる画像に、お礼を申します。