見出し画像

No.1290 占って進ぜよう!?

10日間の修学旅行で英国・仏国を訪れたのは21世紀に入って8年目の12月のことでした。
 
イギリスにはブラウニングという女先生がおられ、彼女が中心になってお互いの学校の生徒達と数年間に渡って交流会を続けていました。彼らが日本に来たときには日本の家庭がもてなし、日本からイギリスに行ったときには向こうの家庭に受け容れて貰う、そんな友好関係でちょっぴり国際感覚を磨く、学びや実りの多い修学旅行でした。
 
我々引率教師二人は、農村地帯にあるブラウニング先生の広々とした家に泊めてもらいました。噂には聞いていましたが、朝食は薄い食パンにジャムを添えるか、シリアル食品に牛乳をかけて食べるか、食卓の上の小さなリンゴを頬張るくらいのもので、実にそっけないものでした。1日ごとにシリアルの箱が増えていくことに笑っちゃいました。
 
夕食は、腕に覚えのある彼女の手間暇かけたイギリス料理を振る舞ってくれました。狩猟好きの旦那さんがポインター犬と共に車で猟に出かけ、山鳥を撃ってきて料理して下さったりもし、結構ワイルドな生活も見せてくれました。そのスープの味は、お世辞抜きの「美味し!」でした。手慣れた老料理人の味でした。
 
イギリスのサフォーク州ベリー・セント・エドモンズの12月は、上旬とはいえ大変寒く、4本脚のついたバスタブは、底が浅くてなかなか温まらず往生しました。しかし、ベッドはフカフカで、電気毛布を用意してくれました。北緯52度の厳しい寒さの洗礼を浴びました。因みに、日本最北端の宗谷岬は北緯45度だそうです。
 
その修学旅行の8日目に、朝食後、新聞のパズル(クイズ?)を解いていたブラウニング先生が、急に「本日の運勢」のコーナーに目をとめ、
「キョウノ、シバオセンセイノウンセイハ、『チームヤグループニアマリカカワラナイコト』トデテイマス!」
と教えてくれました。「ふーん!」。私は、いい加減な返事をしました。
 
コベント・ガーデンで昼食後、生徒たちはグループで買い物に出かけ、私は広場で行われていた音楽家たちの演奏や楽しいパフォーマンスに見入っていました。そして、いつしか集合時間のことをすっかり忘れていたのです。
 
相棒のI先生が、広場の聴衆の中の私を何とか探し出してくれ、「先生、急いで!」と声を掛けられて初めて時間の経っていたことに気付く始末です。慌てて猛ダッシュで集合場所に戻ると、余裕の表情の生徒たちの、にこやかそうに見えながらも目は笑っていない視線が痛かったです。引率に帯同していた私の失態の巻です。恐るべし、イギリスの運勢占い!?


※画像は、クリエイター・tomomixartさんの、タイトル「静かな週末 - After the party」の中の「エリザベス女王のプラチナムジュビリーの後のバッキンガム宮殿」の素晴らしい1葉です。お礼申し上げます。