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No.1221 お宝発見!?

昨日、一念発起(?)して部屋の掃除をしました。
「掃除なんかせんでん、死にゃあせん。うちはホコリ高き家じゃからな!」

冗談なのだか、本気なのだか、歳をとってからの母は、よくそう言いました。そのDNAを正統に受け継いだ私は、母の言いつけをよく守り、死なない程度にしか掃除をしません。四角い所も丸く掃くことの出来る老人です。

しかし、ここへ来て、「死んだら困るな!」という状況になったので、ねじり鉢巻きをした次第です。なにせ、勉強部屋兼、応接間兼、寝室兼、物置き兼、ウォークインクローゼット(?)兼、ラジオ体操も出来る多機能万能型の小部屋です。

それゆえに、掃除機も入りにくい死角に恵まれ、ホコリ君たちがふんぞり返っています。その感動と驚きの光景に、不覚にも「すごーい!」の声を上げてしまいました。

積読状態の本やら資料やらのとっちらかったコーナーを粛々と整理していたら、ポロっと葉書が1枚、隙間から落ちました。消印を見ると「令和3年7月26日12時~18時」とあります。その差出人は、昔の同僚の女性でした。
 
「誰にも等しくやって来たであろう夏は、
   殊更 私に厳しい ような…
 庭の草と虫に 日々戦いを挑み
        そして 全敗の夏
 夕刻の打ち水後の風だけは
 少しだけ 優しいと 思いたい 」
 
「暑中見舞い」の文言はありませんでしたが、そんなレイアウトのハガキでした。詩的で文学的で、心を掴んで放さない短い近況報告の文章に、力いっぱい「ほ」の字の私です。豊かで匂いやかなお便りに、お人柄がにじみます。その感性と、みごとな表現と構成に打ちのめされます。
 
「うーん!」「適わないなー!」と、しばし見入ってしまいました。思いがけずも、旧友に出会った思い、いや、宝物を探し当てた気分です。あやうく、大事なものを失ってしまうところでした。
 
「もう少し頻繁に掃除をしなさい。」
文末に、そんな文字が浮かんで消えたような気がしました。
 
「ルンバさえ 越えてる段に 足取られ」
第17回シルバー川柳(大阪府、女性)


※画像は、クリエイター・ソエジマケイタ(キャラ・写真・似顔絵)さんの「本を整理してお片づけ。 つまづいてよけいに散らかさないで!」の1葉をかたじけなくしました。正にこのような中から、あの葉書が現れたのです。お礼申し上げます。