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No.1426 平和の種
「チョロチョロ…」
学校で、小用の為にトイレに立つと驚く。中学・高校生男子の勢いの良い事といったらない。小気味よい音を立てて、ほとばしる。一方、吾輩のそれは、川のせせらぎか、いや90%断水した時の様な、チョロチョロ流れ。老いとは「飛ばせぬ」ことと識る。チーン。
昔は、こんなではなかった。腰を突き出し、友人達と誰が一番遠くへ飛ばせるかを競い、覇者となったことも!昔の光、今いずこ…。
いかん。こんなことでは、いかん。そう思った私は、「飛ばす」ことに一計を案じた。
和歌山県日高郡みなべ町では、毎年2月の中頃に「梅干しのタネ飛ばしinみなべ」が行われる。気になる2018年度の記録は、
小学生低学年 9.62m
小学生高学年 12.21m
一般男子 22.25m
一般女子 19.17m
シニア男子 17.25m
シニア女子 10.96m だった。
老いたりとは言え、若い者には負けん。試みに「飛ばす」と、5.5m…。トホホ。
ここでも、思いの外チョロチョロであった。
定年退職後3年目の2018年(平成30年)9月5日付の毎日コラム「秋山そ我は」に、そんなことを書いていました。あらま、私の前立腺問題は、この頃すでに始まっていたのか!と思いがけない発見をしてしまいました。コラムが、役に立つこともあるようです。
さて、その後、コラムで紹介した和歌山県みなべ町のUME―1フェスタ「やにこい種とばし」は、2021年2022年とコロナ禍のために中止となり、2023年は「種とばし大会」は行われなかったようです。
スイカの種のように小さすぎず、モモの種のように大きすぎず、程よい大きさで老若男女挑戦できそうなこのユニークな大会が、復活してほしいのですが、昨今、またぞろコロナの声を聞いたり、インフルエンザの流行を聞いたりすると、運営も難しそうです。
この、みなべ町の「やにこい種とばし」の「やにこい」とは、みなべ弁で「すごい」という意味だと知りました。九州でいうなら、
福岡県「ばり」
佐賀県「がば」
長崎県「いじ」
熊本県「たいぎゃ」
宮崎県「てげ」
鹿児島県「わっぜぇ」
沖縄県「でぇじ」
そして、わが大分県なら「しんけん」と言うことになるのでしょう。しかも、大分には、その上の「しらしんけん」(ものすごい!)というのもあります。お越しの際には、そんな大分もお楽しみいただければ幸いです。
全国の梅の産地では、「梅まつり」の行事の一つとして「梅の種飛ばし大会」が行われているようですが、その初めが、いつ頃のどの大会か分かりません。大昔から「種を飛ばす」遊びはあっただろうと容易に想像しますが、その歴史を知りません。どなたか、教えて頂ければ、有り難く存じます。
比較的近年ですが、2017年(平成29年)2月5日に「第1回飛梅伝説!梅種飛ばし 世界選手権」が大阪市北区の大阪天満宮で開かれたそうです。「世界選手権」とは、大きく銘打ったものです。その最初の大会には、国内外から100人が参加したそうです。世界から集うた人々が「梅の種飛ばし」で笑顔の交流がさらに深まると良いですね。
小さな平和の種です。
※画像は、クリエイター・YOBISHIさんの、タイトル「お天気と相談しつつ梅を干す」の1葉をかたじけなくしました。俳句のようなタイトルに梅干しの極意のゆかしさを覚えます。お礼を申し上げます。