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No.363 嬉しい発見
数年前に買った1,500円もする雨合羽は、胸もとがほつれ、ズボンは破けてはいるものの、愛用のバイク(ジェニファー)と同じくらい、無くてはならぬ大事な代物です。
ある日のこと、玄関の外に濡れたままの合羽を置いていたら、その夜の強風に煽られたらしく、ズボンだけがなくなっていました。強風なだけに、とんだ(飛んだ)ことになってしまいました。
どこに行ったのか、あちこち探してみましたが杳として行方が知れません。諦めかけていた数日後のこと、件のズボンが、ゴミステーションでハンガーに掛けられてあったのを、実のカミさんが発見!団地内の親切さんの心遣いでありました。いずこのご婦人か殿方かは存ぜぬが、かたじけなさに涙が零れます。
西洋のことわざに、
一日だけ幸せでいたいなら、床屋へ行け。
一週間だけ幸せでいたいなら、車を買え。
一カ月だけ幸せでいたいなら、家を買え。
一生幸せでいたいなら、正直でいろ。
というのがあるそうです。「車を買え」の時点で、あまり古い「いわれ」では無さそうに思いますが「正直でいることが、一生の幸せ」という発想は、私のような凡人でも理解出来ます。
それでなくても、小汚くて、破れもあるボロ合羽のズボンです。しかし、そんなものでも「持ち主は、さぞ困っているであろう」と推し量ってくださる。しかも、竹にひっかけたり、何かに結わえ付けたり、石の重しで風に飛ばされないようにしたりするのではなく、ハンガーに掛けて下さるのです。自分の心に正直であるこのような人こそ「一生幸せ」に暮らされる方なのでしょう。
そんな人が、身近におられるということが、何とも嬉しい発見でした。
人は、目に一番近いまつ毛の凄い存在になかなか気づかいないもののようです。この経験を機に、少し見方が変わりました。ありがたや!