歴史から学ぶデザイン⑩「しりとり日本美術」展(出光美術館/丸の内)
なにかと立ち寄るようになった、丸の内。
美術館が非常に多いこと…!
そんな丸の内にたたずむ、出光美術館。
今回は「しりとり日本美術」という、なじみやすいタイトルの展覧会へ。
※撮影不可だったので文章でどんな感じか…伝われば幸いです。
日本美術からデザインを学ぶ
早いもので、展覧会やミュージアムへ訪れながらデザイン・美術を学び始めて10回目。
色々見てきたが、どうやら私は日本美術、特に江戸から明治にかけての作品に惹かれるらしい。多分…パキッとした色合いや、細工のデザインが好きなのかもしれない。切子とか組子も好きだし。
そんな私が選んだ、今回の「しりとり日本美術」。
初心者向けな、親しみやすく、イメージを持ちながら作品を観察してみようと訪れた。
全3部に分かれて事細かに「見方」を解説していてとても見やすかった!
対になっているものは面白い!
風神雷神のように、いわゆる、”屏風”と呼ばれている画には「対」で描かれるものが多い。
左右でセットとなり表現されるものは全体のバランスも、1枚でのバランスも、かなり計算されているように思う。
いや、決して…多分、1枚だけで置かれることは無いだろうが…
なかには春夏秋冬を対で表現される屏風もあり、色使いが似たようなものでも、背景が桜に対してススキだったりと明らかな差を表す。
確かに、ふすま(襖)も、1枚1枚描かれているものもあれば、両開きで対になるように絵柄があったりするものもある。
よくよく考えたら、左右対称でありながら、左右非対称にも思う表現。
なんとも粋だろう。
ひとつのテーマで同じもの、違うことを比べる
次に見たのは「水」に着目した作品たち。
川や海、滝といった、水を表現したものだけを集めたエリア。
力強いもの。
静かなもの。
「水」だけで多くの表現がある。音が聞こえてきそうな作品たちに「水」のイメージを持ちながら鑑賞すると、同じものでも違うことに気づく。
作者がどう感じ、表現しているのか?イメージする。
美術鑑賞の基本かと思うがなかなかこれが難しい。
イメージしろ、つまり想像だ。モノの形、音、香り…それらを一貫して想像するのは難しいことだなと思う。具現化するにも上手くできなかったり、ピンと来なかったり。
この「水」に着目した作品たちでそのイメージが幾分、できるようになったのではないだろうか。
古来からの図柄が伝える
着物とかに用いられる、柄が割と好きで。
七宝柄や矢羽といった柄がなんだか好き。
高校生の頃から専門学生の頃は暇を見つけては着物を普段着にしていたほど。学科しか授業がないときは学校にも着て行ったりしたものだ。
昔からの着物の柄については、鬼滅の刃が流行った時は意匠でちょっと揉めてましたねぇ。
そんな伝統がある縁起物の柄、というのは古来日本では絵で人々に伝えては、子孫繁栄・長寿祈願・商売繫盛…と願いを込めていたそう。
なんかありますよね、「これ食べたら」「これを身に付けたら」なんて伝わってるやつ。そりゃ昔々の人々は今みたいにみんながみんな、文字を読み書き出来た訳でも無し。絵で伝えるのが一番伝わる手法だったのかも。
細やかな、ひとつひとつの文様の意味を考えて、画を見直すとイメージがつきやすくなる。
最後は壮観な都会を眺めよう
3部構成の展覧会後は、ちょっとした休憩スペースがある。
皇居や霞が関、渋谷の景色を眺めることができる。
茶室もひっそりとある。
静かな茶室。ここでも日本美術の粋を感じるのもいいだろう。
イメージで”しりとり”していくと日本美術が見やすい!
鑑賞から得られる、デザインってたくさんある。
対になってる、非対称になってる、色使い、意味。
美術品はそんなデザインの基礎、だと思う。
現代をとりまく様々な作品たちの大先輩たちは、ちょっと入門するには難しい…入りにくいかも…という印象があるかもしれない。
しかし、この「しりとり日本美術」ではそんな”入りにくい…”を解消してくれる、親切で丁寧な解説とともに日本美術に触れられる。
是非、作家たちのイメージを、しりとりしに訪れてみてはいかがだろうか。