私は何者か、番外編 a dozen 短歌 61
ゆふぐれも悲しみも影も肩こりも猫のしっぽでさっと消えちゃう
波寄せて舟虫の家訪ねおり我はこれから何処にとどまる
傷つかぬダイヤモンドを胸に持つそんなわけない今日も暮れゆく
木の実降るちいさな星にいるのです遠く静かに青く輝く
何度でも聞いていいよと言われたの影とわたしとどちらが本物
ほんとうにあなたで良かったなんてこと言われてはじめて自分に気づく
波が描く言葉にならぬ言の葉のそれでもなにか忘れえぬもの
落ち葉踏みふみふみ歩き出すことのなんとわくわく空が青いよ
流れには終わりがないと今更に気づく体内巡るわたくし
暗闇を恐れてはならぬそもそもの見えぬものからすべてはじまる
そのままのものを抱けばそのままにそのものの持つただそのもののもの
ゆふがたのはじめは雨という予報薄い夕闇濡れて濃い闇