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私は何者か、601


流れにあって、花びらは何処へゆくというのであろう。涙を流す者。痛みを堪える者。笑いあうふたり。企んでいるだれか。死の淵にあるひと。生まれ出る者。悩む者。移ろう景色。澄んだこころ。負けまいとする気持ち。寄り添おうとかけよって、やがては気づく、その、烈しい勢いに我らはすでに飲み込まれたことを。

抗おうとすると、溺れそうになる。やさしく柔らかに見えるのに、何か天然の毒物を含む棘が静かにゆっくりと身体からこころへ。

我らはとっくに侵されているのではないか。

侵襲。

知らぬまに、われは我でなくなるのである。


否定してはいけない。

なのに、だれ、否定されてるのか、われ。


侵襲を肯定し、さらに、われは、生き延びるための、最後の、多分、最終の、火を放つ。


燃えてのち、そこに、たとえ小さくとも、ダイヤモンドが残るかと。


希望的観測ではあるが、その、希望を捨てるなど、体制側に、それでも、我は、魂を売るなど絶対にありえない。


彼が、週末の家に帰ってきた。


豚カツと野菜かきあげ、キャベツ、千枚漬け、麦酒。


吹けよ、拭けよ、老けよ、日々を生きる。


かつて、これほど愛したことはあるのか。



わたしは何者か。



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