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私は何者か、624


苦しかったり、悲しかったり。そんな時は問いかけもまた同じように、苦苦しく、悲観的だったり。また明日、また次の時にと。すべてを見て見ぬ振りのように先送り。

言葉にしたからと言って、文にしたからといって、それがなくなるわけでもない。しかし、それは、一見投げつけられ、または与えられた課題のようでいて、実は自分の作り出したものであることも、私にはわかっている。だからこそ、逃避などできますまい。指先に、睫毛に、ぶら下がっているのは、結局は自分の作り出したものなのだから。他人の言動に振り回されるなどと、被害者面はいけないね。ほんとのプライドとはそんなことでは崩れないんだ。

川をゆく、なんだ、そうか、あれは、あるもののありし日の幻。幻をみたのか。はっきりと見た。忘れないし、忘れられない。引き寄せようとしたら、誰かが、強い力で私を抱き留めて言う。触れてはならぬと。触れれば、一瞬でその幻とやらは粉々になるのであると。それは、見てはいけないもの。そのままを流れに任せて、放っておくのが良いと。

どれくらいの時間が過ぎただろう。なにも、景色は変わっていない。幻は眼裏に宿り続け、やがては自身の宿命のように別れを拒む。


いつのまにか、夜は昼に追いつかれ、ゆふぐれが微笑んでいる。



わたしは何者か。


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