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私は何者か、番外編 a dozen 短歌 63
暗号のような枯れ枝まるい石みんなお菓子の缶にしまうの
そこにもうないものの放つ光だとしても美し星の瞬き
永遠に解けぬ意図などないものを知らぬふりしてやさしく潜る
なんかほら分厚い本をめくったら少しは森に近づくような
ばったりとその人に会う五年ぶり寒いし暗いしなのにあたたか
この時間こんなふうにして書き留める神様がくれた居場所である
帰りきてビールを飲んでおでん煮る普通に暮らす奇跡のゆふぐれ
朝八時不思議でならぬあれは月まるくて白いこの世のほかの
黄昏の目瞑る我の指先になにか振れたり誰の袖なる
きっときっと大曼荼羅の隅っこのだから蟻だとわたしの来世
ほんとうは梓川にて石ころになるつもりだと我の来世は
わたくしは大きな岩が好きなのよ太古のものの温かきこと