オキオリーブ

香川県高松市でオリーブオイルの生産をしています。「和食に合うオリーブオイル」をテーマに、オリーブオイルが食材に及ぼす働きと「おいしい」をお伝えしていきます

オキオリーブ

香川県高松市でオリーブオイルの生産をしています。「和食に合うオリーブオイル」をテーマに、オリーブオイルが食材に及ぼす働きと「おいしい」をお伝えしていきます

最近の記事

オリーブオイルってどうやって搾るの?

オリーブってどうやって搾るの? オリーブオイルがどうやって搾られているかって、あんまり知られていないと思います。一般的に知られている菜種油やゴマ油なんかの核油、すなわち種を搾るオイルだと、圧搾機でギューって搾ったら油が出てくるのがイメージできます。 では、オリーブオイルの場合はどうやって搾油しているんでしょうか? 大昔は、こんな風にたくさんの男たちが袋をぎゅうぎゅう絞ったり、足で踏んづけたりしてオイルを搾りだしていたんですね。かまどに火を焚いているのは、温度を上げることで

    • オリーブハマチって知ってますか?

      オリーブハマチってご存知ですか? わたしたちが住むこの香川県では今や当たり前になったこの食材。食べられる時期に限りがあって、毎年9月の中旬から12月までの4か月間。この期間になると、香川県のスーパーの店頭のハマチはほぼオリーブハマチに切り替わります。少し前までは、天然ものやほかの養殖物も並行しておいていた時代もありましたが、今では全く見かけることはありません。2008年に初めて出荷されたオリーブハマチ、そのおいしさを知っている香川県の人たちは、もはやオリーブハマチしか買わない

      • オリーブの収穫

        オリーブの収穫   意外と知らない方が多いのが、オリーブの収穫の時期。 品種によっても多少バラつきがありますが、秋がその収穫シーズンです。日本で言えばマンザニロのような早生の品種が9月下旬から始まり、わたしたちが育てているミッションは10月初旬以降が収穫時期となります。    オリーブ農家にとっては、収穫のタイミングが最も大事な見極め。実が青い未熟な段階ではオイルの含有率が低く、真っ黒に熟すと最もオイルがたくさん採れます。 では、真っ黒に熟したものを搾るのがいいのでしょうか

        • オリーブオイルに合わない食材

          オリーブオイルは「味の拡大鏡」というのがオキオリーブの考え方。 オリーブオイルの4つのお仕事の中の一つ「香りを引き出す」作用が、味の拡大鏡を演じるんです。拡大鏡ということはいいものも悪いものも両方とも大きく拡げるということ。 ちょっと前に、イタリアンレストランのオーナーから相談がありました。知り合いのジェラート屋さんが作った試作品「ゴルゴンゾーラのジェラート」を頂いたんだけど、今一つ芳しくないお味なんで、澳 OKI Oliveをかけたら少しは改善するんじゃないかと思うんで、オ

          オリーブオイルで揚げ物

          エクストラバージンオリーブオイルは、加熱せずに生で使ってくださいって、よく言われますよね。 確かにその通り、エクストラバージンオリーブオイルは、高い香りとさわやかなキレのいい味が身上なので、その特徴を最大に生かすためには、加熱せずにお料理の仕上げにお皿の上で振りかけて使って頂くのが、もっともいい使い方だと思います。 でも、その一方でオリーブオイルは加熱にもとっても強いオイルだということは、実はあまり知られていない事実。 オリーブオイルの本場イタリアでも、レストランでの揚げ物は

          オリーブオイルで揚げ物

          オリーブオイルは調味料

          エクストラバージンオイルは加熱しないで、生食で使ってください。って言う話はよく聞きますよね。 はい、その通りです。でも、実は加熱してもいいんですよ、エクストラバージンオリーブオイルは熱に弱いというのは全くのデタラメで、実は大変に熱に強いオイルでもあるんです。その話題はまた今度にして、今回は生食するオリーブオイルのお話。   生で使ってください、って言われても、ほとんどの人はピンと来ないと思います。せいぜいパンにつけるか、サラダにかけるくらいしか思い当たらない。お醤油やポン酢み

          オリーブオイルは調味料

          オリーブオイルの4つのお仕事    ④臭みを消す

           オリーブオイルのお仕事の最後の一つは、臭みを消す働き。 これは実はオリーブオイルだけでなく、他のオイルでも時々使われる働き。例えばレバ刺しはゴマ油と塩で頂きますよね。これはレバ刺しの血生臭いにおいをゴマ油の焙煎した強い香りでマスキングする働きです。 オリーブオイルは品種や搾り方で様々な香りを持っています。世界中には1,400以上の品種があると言われており、香りの出方はそれこそ無限大です。 写真はイタリアラツィオ州の知り合いのオリーブ生産者「Iannotta」のオリーブLA

          オリーブオイルの4つのお仕事    ④臭みを消す

          オリーブオイルの4つのお仕事 ③香りを引き出す

          オリーブオイルの3つ目の働きのつが「香りを引き出す」という仕事。 オリーブオイルのよく似た仕事に「香りを付ける」というのもあります。オリーブオイルは品種や搾った時期、搾る時の温度によって、それぞれ違った香りが出てきます。例えば日本人の多くが好きなのはシチリアの代表的な品種「トンダイブレア」の持っている華やかなトマトの香り。ほかにも青リンゴ、夏の草いきれ、アーティチョークなどといろいろな例えで表現されます。アーモンド香というのもその一つ、日本人にとってアーモンドってチョコレート

          オリーブオイルの4つのお仕事 ③香りを引き出す

          オリーブオイル4つのお仕事 ②油を切る

          オリーブオイルの働きのもう一つが「油っこさを切る」という仕事。 脂のしっかり乗った豚ロースソテーにオリーブオイルをかけると、あら不思議、脂っこさが消えて爽やかになっていく。同じように脂がしっかり乗ったマグロのトロにお醤油と一緒にオリーブオイルをかけると、あら不思議、トロのコクみはそのまま残しつつ脂のしつこさだけが消えていく。エビの天ぷらだって変えてしまう、揚げたてのエビ天にほんの少しのオリーブオイルをかけると、え?びっくり、天ぷら油のくどさがスッキリ切れてしまう。 論より証拠

          オリーブオイル4つのお仕事 ②油を切る

          オリーブオイルの4つの仕事 ①コクを与える

          これから何回かにわたってオリーブオイルが料理に与える4つの作用についてそれぞれお話していこうと思いますが、今回は「コク」を与えるお仕事 オリーブオイルと言えば、イタリア料理のパスタ料理に使うのが最もよく知られた使い方、アーリオオーリオなんてのがその定番。でもそれ以外にとなると、サラダにかけたり、パンにつけたりくらいしか思い浮かばないんじゃないでしょうか。 あ、あった、お魚のカルパッチョ カルパッチョって料理はもともとは赤身の牛生肉をオイルとニンニクとパルミジャーノチーズで

          オリーブオイルの4つの仕事 ①コクを与える

          オリーブオイルの味と香り

          これまでのコラムで、もうみなさん良質なオリーブオイルがどんなものかご理解が進んできたと思います。このコラムで使うオリーブオイルという言葉は、特に断りがない限り、全て「本当の」エクストラバージンオリーブオイルのことを指します。 オリーブには約1,700種以上の品種があるといわれていて、それぞれがいろんな香りや味の個性を持っています。これもオリーブオイルだけが持っている、ほかの植物油にない特徴の一つ。ゴマ油も菜種油も品種ごとに搾り分けるなんてことは普通ないですよね。 でも現実

          オリーブオイルの味と香り

          エクストラバージンオリーブオイルの定義 その②

          オリーブオイルは、大きく精製オイルと非精製オイルに分けられると前回お話しましたが、非精製オイルのことをバージンオイルといいます。そして、同じバージンオイルでも、化学検査の特性と、オリーブオイル鑑定士の実際のテイスティングによる官能特製の二つの試験をクリアした、特に優れたものだけをエクストラバージンオリーブオイルと呼びます。 その基準を定義している団体でもっとも一般的なのが、IOC(国際オリーブオイルカウンシル)の定める定義です。 まず、化学特性としては、オイルの劣化度合いを

          エクストラバージンオリーブオイルの定義 その②

          エクストラバージンオリーブオイルの定義その①

          これまでオリーブオイルの「デフェット(欠陥)」についてお話をしましたが、今回はエクストラバージンオリーブの定義についてお話します。 少し乱暴な分け方ですが、オリーブオイルは大きく2つに分けることができます。それは、そのオイルが精製されているか、精製されていないかの違いです。さて、どっちの方がランクが上なんでしょうか。 ご存知の方も多いと思いますが、オリーブオイルはオリーブの果実を搾って作られる、いわば100%天然オイルジュースのようなものです。搾油機から出てきたオイルは、

          エクストラバージンオリーブオイルの定義その①

          オリーブオイルのデフェット②

          オリーブオイルのデフェット②前回はオリーブオイルのデフェット(欠陥)はすべて生産者が手抜きをした「人災」だとお話しました。それが分かっているのに、なんでデフェットがなくならないんでしょうか? 世界最大のオリーブオイル生産国はイタリアとスペイン、その明るく大雑把な国民性であんまりこだわりがないから?ま、そんなことも少しはあるかもしれませんが、もっと本質的には違う理由です。それは 「オリーブオイルが果実を搾るオイルだから」 ん?なんかチコちゃんに叱られるみたい。 世の中の植

          オリーブオイルのデフェット②

          オリーブオイルの「デフェット」①

          1990年代、それまで洋食と言えばフランス料理一辺倒だった日本に、「イタ飯」という言葉とともに空前のイタリアンブームが起きました。それ以来、着実に消費者に浸透してきたオリーブオイル。同じ期間にワインについての知識や理解度、流通する商品の品質は飛躍的に上がってきましたが、ことオリーブオイルに関しては、未だに正しい知識が伝えられず、市場に出回る商品も品質的には「?」というものが多いのが現実です。 よく 「オリーブオイルって独特の匂いがするわよね」 「オリーブオイルのちょっとあの

          オリーブオイルの「デフェット」①

          グリーンのオイルが良いオイル?その2

          前回は必ずしもグリーンのオイルが良いオイルだとは限らないというお話をしましたが、やっぱり「グリーン=新鮮」というイメージはあるため、一部の生産者は何らかの方法でグリーンな色を出したいと思っています。もっとも王道なのは果実がまだ未熟で青い段階で搾ることなのですが、第一話でお伝えした通り、若く未熟な果実からはほんの少しのオイルしか搾られないため、とてもコストが高くなってしまいます。 では次にどうするかということ考えます。 グリーンなオリーブオイルのその鮮やかな色の正体はクロ

          グリーンのオイルが良いオイル?その2