●Now/サービスナウ(米)、クラウドの波に乗る成長株
こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
今日は、米国株の銘柄紹介の記事です。僕okeydonの投資先になりますが、高配当株や増配株ではなく、成長株となります。
この記事では、米国 ServiceNow/サービスナウ(ティッカーコード:NOW)をご紹介します。
サービスナウは、クラウドの波に乗る無配成長株(企業)です。業務効率化SaaS企業です。
※SaaSとは、Software as a Serviceの略で、日本語ではサースと読みます。インターネットを経由して、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアのことです(もしくはそのソフトウェアを提供すること)。
◆サービスナウとは
社名:ServiceNow,Inc
本社:アメリカ、カルフォルニア州
設立:2004年
上場市場:NY証券取引所(ティッカーコード:NOW)
上場年:2012年6月
時価総額:813.1億米ドル
※2020年7月9日現在
概略:サービスナウは、クラウド専業のソフトウェア企業で、テクノロジーの力を活用して、企業(契約先)の仕事の複雑さを軽減することで、従業員の働き方をより良くします。古い手作業の働き方を、最新のデジタルワークフローに変革することで、より速く、よりシンプルに、より簡単に、必要とするものを、必要とするときに、得ることができます。こうして従業員の働き方をより良くすることで、ビジネスをより良くします。
企業向けにIT技術運用の自動化ソフトウェアをクラウドで提供しています。社名と同じ「サービスナウ」というソフトウェアをクラウドで販売し、業務の効率改善、自動化、標準化を行ないます。契約先企業は、「サービスナウ」を利用することにより、社内の部署間のやり取りがスムースになり、情報共有の課題を解決し、より効率的な業務遂行が可能になります。また、クラウドの最大のメリットは初期投資負担が軽いこと、よって経費負担増の心配もありません。
(資料引用:サービスナウ社のホームページより。以下同様。)
企業のシステム環境は、国や企業によりまったく違ったものですが、この「サービスナウ」を利用することで、システム環境の標準化を進めることができ、効率化や経費削減を計ることができます。グローバル企業には有難い存在でしょう。
また、最近は、上記ソフトウェア以外に、人事関連や取引先からの請求への対応を自動化するソフトウェアも提供するなど、ソフトウェアのラインナップを拡充して、新しい分野へ進出しています。既存の契約先企業がこれら新たなソフトウェアも重複契約することも多く、実に75%もの契約企業が重複契約をしています。また、契約更新率が重要ですが、継続的に高い水準で推移しており、最新データでも実に97%にもなります。
同社のソフトウェア採用企業は、世界的に増加中で、5400社を超えてきています。業種ごとの世界のトップ10企業のうち、その多くがサービスナウの製品を使用しています。
IT企業に至っては、トップ10企業の全てが使用しています。
◆身近な導入事例
身近な導入事例を紹介して、よりイメージしやすいように説明しましょう。
仕事には、面倒くさいけれどやらなければならない付帯業務があります。それが多かったり、複雑だったりすると、うんざりして仕事のモチベーションが下がるばかりか、社員の時間が奪われ、本来するべき利益を上げる「営業業務」が出来なくなります。このような付帯業務を楽にする存在がサービスナウです。
・入社システム
従来の入社手続きでは、新入社員の入社にあたり、多くの手続きが紙ベースで行なわれていたため、多くの書類のやりとりに手間と時間を要していました。また、システム化されている分野も、複数の部門にまたがって、複数のシステムが存在して、それぞれに入力する手間が必要で、複数のシステム間での連携ミスが起きることもありました。
各部門が、メールアドレスの発行、システムアカウントの発行、社員証の作成、給与振込口座登録、個人用PCの調達、名刺の準備などの一連の処理や準備は、複数のシステムあるいは紙で管理していました。これら業務は人事部、経理部、総務部、システム部など複数の部門を横断するものです。
その結果、例えば、新入社員の配属日に、個人用PCの調達が間に合わない、名刺が用意できていないというようなことも起こりました。これでは仕事にならないばかりか、新入社員のモチベーションが下がります。また「仕事はこんなものか」と教育的にも良くありません。
「サービスナウ」を利用することで、入社時の諸手続きを、ひとつのシステムで、自動化することが可能になります。これで、これまで紙ベースや複数の部門で複数のシステムで行なっていた入社手続きは、「サービスナウ」により、デスク上でPCからはもちろん、場所を選ばなくともタブレットやスマホで手軽にできるようになります。複数のシステムをひとつに集約することができ、複数のシステムに初期入力する手間がなくなり、システム間の連携ミスもなくなり、他業務間での進捗状況も可視化できます。このように、「サービスナウ」は、プラットフォームに統合化された仕組みとして提供され、業務のスピードも正確性も上がります。ユーザーは、「サービスナウ」にさえ入力すれば全て終了します。
・社内決裁システム
あなたは、会社で1ヶ月間の海外出張をする必要が出たと仮定しましょう。そのなかで、付帯業務として考えられることを上げますと、業務用クレジットカードの限度額引き上げが考えられます。
従来であれば、社内LANより申請フォーマットをダウンロードして記入し、それを直属の課長に押印をもらい、さらに部長にも押印をもらい、さらに経理部で押印してもらい、場合によっては担当役員にも押印をもらい、さながらスタンプラリーのようなことをしなくてはなりません。ここまで押印を揃えて、それを直属の課長に報告して、これでやっとクレジットカード会社への手続きを行なうことができます。
ところが、「サービスナウ」を使用すると、これだけバラバラに必要な承認作業を一元化することが可能となります。「サービスナウ」を使用すればバーチャルアシスタントと対話するだけで、これだけの業務フローが自動で動き、上司や経理部も担当役員もモバイル承認が可能です。この「承認」は、スマホ画面をスワイプ、タップするだけで完了しますので、必ずしもデスクでPCを開く必要がなく、外出先にカフェで休憩中でも、通勤途上の電車の中で立ったままでも可能です。付帯業務は相当なスピードアップと手間を省くことが可能で、社員は本来業務への時間をより多く確保できることになります。
◆M&A
2013年 アムステルダムを拠点とするソフトウェア開発者であるMirror42を買収
2014年 Neebula Systemsを買収
2015年 Intréisを買収
2016年 クラウド管理ソフトウェアのスタートアップITappを買収
2016年 Brightpoint Securityを買収
2017年 機械学習のスタートアップDxContinuumを買収
2017年 人工知能によるサービスデスクの会話を強化すべくQlueを買収
2018年 自然言語検索のFriendlyDataを買収
2020年 会話型AIプラットフォーム企業であるPassage AIを買収
2020年 イスラエルに拠点を置くAIOps(IT運用向け人工知能)のLoom Systemsを買収
これまでこれだけのM&Aにより、事業を強化してきました。
◆日米企業の導入実績
アメリカでは、FORTUNE500(米フォーチューン誌が年1度発表する全米企業の収入トップ500社)のうち実に約75%もの企業が契約先です。
また、FORBES Global 2000(米フォーブス誌が年1度発表する世界の企業トップ2000)のうち44%、北米に限ると71%の企業が契約先です。ジョンソンエンドジョンソン、AIG、DELL、キンバリークラーク、モルガンスタンレーなどが契約しており、多くの大企業を顧客としています。
日本では、NTTデータ、パナソニック、野村證券、クックパッド、GREE、ヤンマーなどが契約しています。
地域別売上は、2019年12月期で、北米65.8%、ヨーロッパ・中東・アフリカ25.0%、アジア・太平洋等9.2%です。
◆サービスナウの追い風になる時代の流れ
時代の流れとして、企業のシステムのクラウド化、企業のグローバル化、企業のM&Aの増加が見られることから、サービスナウに強い追い風が吹いていると言えます。それを裏付ける、決算データを紹介しましょう。売上高は、2018年12月期の決算では前年比36%成長、2019年12月期には33%成長を遂げました。
マスコミにも注目、評価、期待されています。米フォーブス誌には「2018年 世界で最も革新的な企業」に選ばれました。米フォーチューン誌には「2018年 Future 50(長期的成長の見込みが最も高いグローバル企業ランキング)」の3位に選ばれました。
◆新展開、Zoom社との提携
2020年7月7日、Zoom社は、サービスナウのプラットフォームで運用する「Hardware as a Service」を新たに発表しました。Zoomは、このサービスを、サービスナウのプラットフォーム「Now」で運用します。
また、サービスナウは、ビデオコミュニケーションの強化のためにZoomと組むことに加えて、現行でサービスナウが使用している電話システムをZoom Phoneで置き換えるとしています。これにより、サービスナウの1万1000人の社員がZoomおよびZoom Phoneを使用することになります。
SaaSのなかでも上昇中の銘柄同士が提携するのは、ウィンウィンになることが期待できます。
◆株価推移
年月 株価[単位:ドル]
2012年6月29日(上場時) 18
2012年終値 30.03
2013年終値 56.01
2014年終値 67.85
2015年終値 86.56
2016年終値 74.34
2017年終値 130.39
2018年終値 178.05
2019年終値 282.32
2020年7月9日 426.37
【5年チャート】
【1年チャート】
株価は、2012年6月29日の上場時18ドルから、2020年7月9日には426.37ドルと、8年で23.7倍に成長しています。執筆段階の1年前となる2019年7月9日の株価は298.02ドルですので、この1年で株価は1.43倍です。コロナショックでは大きく下げましたが、その後急回復して、高値更新しています。コロナがむしろさらなる成長機会になり得る銘柄と思います。
◆業績推移
(GAAP/売上高、当期純利益)[単位:百万ドル]
2015年12月期 1,005 / ▲198
2016年12月期 1,391 / ▲414
2017年12月期 1,918 / ▲117
2018年12月期 2,609 / ▲27
2019年12月期 3,460 / 627
売上高、利益ともに、順調に右肩上がりです。より厳しいGAAP基準で、2019年12月期より黒字化しました。
◆キャッシュフロー
(営業活動によるキャッシュフロー/投資キャッシュフロー/フリーキャッシュフロー)[単位:千ドル]
2016年12月期 159,081 / ▲105,562 / 53,159
2017年12月期 642,940 / ▲150,510 / 492,430
2018年12月期 811,089 / ▲224,462 / 586,627
2019年12月期 1,235,972 / ▲264,892 / 971,080
事業拡大とともに投資キャッシュフローが大きくなっていますが、それ以上に営業活動によるキャッシュフローは順調に伸びており、フリーキャッシュフローが積みあがっています。
◆1株利益
(non-GAAP)および配当金[単位:ドル]
2017年12月期 1.35 / 0
2018年12月期 2.49 / 0
2019年12月期 3.32 / 0
2020年12月期 4.37 / -
2021年12月期 5.61 / -
2022年12月期 8.92 / -
※2020年以降は、野村證券資料掲載の予想値
1株利益は順調に成長しています。
◆各種指標
・ROE推移(単位:%)
2017年12月期 39.5
2018年12月期 46.9
2019年12月期 40.5
2020年12月期 39.3
2021年12月期 47.0
2022年12月期 65.4
※野村證券資料より。
※2020年以降は予想
・予想PER 666.45倍(2020年7月9日現在)
・実績PBR 37.85倍(2019年12月期)
・自己資本比率 36.57%(2020年3月31日現在)
◆まとめ
同社は、時代の流れをしっかりと捉えており、会社の成長性、業績予想など「ストーリー」もよく、いい結果を得られるのではないかと期待します。昨夏の投資以来、株価は順調に成長しています。
僕okeydonは、高配当(および増配)株への長期投資をメインにおいていますが、一部 アメリカの成長企業の「ど真ん中」にも投資してみたいという思いから、サービスナウに投資しました。株価が数年で5倍、10倍になるようなスター性のある銘柄もポートフォリオに入れてみたいという考えです。
投資判断は自己責任にてお願い致します。
今日も何事にも適温でまいりましょう。
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