恋バナ
私は体調が安定してから、ここ6年くらい、片想いをしていた。
近所の自転車屋さんの店長だ。
愛車であるBruno(ミニベロ)メンテナンスに通っていたところ、いつも親切でさわやかな店長に会うたびいいなーと思っていた。
3年前、思い切って自分からモーニングにお誘いしてみた。結果はok!だった。思わずやったーって満面の笑みで帰宅したのを覚えている。(この時が一番楽しかったんじゃないかな。)
店長とファミレスでモーニングを食べた。
私より2歳年下、趣味は、音楽フェスに行くことだと知る。お互いの仕事の話や家族の話もした。
私は、偶然、GUの①MW(ブランド)コラボTシャツを着ていたが、店長も知ってるらしかった。私は店長と友達になりたいと言った。店長は快く承諾してくれた。
そんなことがありつつ、自転車屋さんに通いメンテナンスをしてもらった。月一で、購入したおやつを差し入れとして渡していた。夏には暑中見舞いを書いて渡した。返事はもらったことはなかったが辞めてくれとも言われなかった。
暑中見舞いは、応援してます、自転車が好き、親切・丁寧な自転車屋さんが近所で助かってます、というような内容だったと思う。
ただただ楽しかった。
推し活する人の気持ちがよくわかった。
しかし、ある時、お店のSNSで衝撃の事実を目の当たりにする。「妻とレッチリのライブに行く。」というコメントを見てしまった。
なんと!妻がいるじゃん!
あー。やっぱりー。通りでー。
悲しみより、好きな人に好きと言えたんだ、と親心みたいな気持ちが湧いてきた。
同時に、彼を独り占めしたかったという自分の中の独占欲が酷いなと思い知らされた。
だから恋愛ってやつはいやだ!とも思った。
この夏、失恋に終わった。
私は髪を切り、強めのパーマをかけた。
ほとぼり覚めた頃、自転車屋さんでメンテナンスをしてもらっている。店長は相変わらずさわやかな笑顔を見せてくれている。
街に友達がいるのは悪くない。いや、とても心強いと思った。