『ちゃんと』食べる、そして生きる
おけいこさんはご飯を食べてお腹がいっぱいになると、ゆっくり、そしてだらだらしたくなってしまいます。
お茶でも入れて、のんびりYouTubeでも見ながら、、、
至福のひと時ではあるのですが、僕の悪い癖でどうしてもYouTubeを見始めると止まりません。なのでYouTubeを見る代わりに、一つ『ちゃんと食べること』について書きましょう。
あれは2018年の秋のことです。男子大学生のおけいこさんは料理なんてそんなに興味がありませんでした。「やらないとな」というところまでは考えますが、どうしても面倒臭いという思考がまさってしまい、料理はしても週に3回程度。それも料理と言えるのかわからないような簡単なものを作って食べていました。
では何を主に食べて生活していたか。
実は大学の近くに"田舎のコンビニ"がありまして、そこでは午後の3時を過ぎると、賞味期限が近いおにぎりやパンが半額になっていました。なので4個とか買ったとしても300円で買うことができます。ズボラで、そしてバイトなどでいろいろと忙しかったおけいこさん、今日も料理は面倒だということで、ほぼ毎日授業終わりに買いに行っていました。今日はこのパン、でもこっちのおにぎりも今日は安いぞ、、、と。
まあ典型的な大学生の食生活でしょうか。死にはしませんが、間違いなく体にはよくないですね。若いことをいいことにそのような食生活を続けていた僕ですが、体の変化以前に、なんと僕の心に変化は起こりました。
突然の無気力。ぼーっとして、やることはたくさんあるけどしたくない。どうして最近の自分は元気がないのだろうか、そんな疑問を持ち始めました。心はイライラ、もやもや。体は元気ですが、気持ちがついてこない状態です。一体どうしたことでしょうか。
とりあえず元気がない時、僕がすることは「美味しいものを食べる」ということです。元気がなかったその日は、バイトが終わってから友人と二人で秋田市の方にあたたかい鍋を食べに行きました。うまいもんでも食って、気持ちを切り替えよう、そういう作戦です。
ちょっとだけ値段はしましたが、元気を出すためと思って比内地鶏の入ったきりたんぽ鍋を注文しました。(秋田県民だって滅多にきりたんぽ鍋なんか食べませんよ!)久しぶりのきりたんぽ鍋、ワクワクとよだれが止まりません。
グツグツと鍋は十分煮えて準備万端。いざ出陣と言わんばかりにふたを開けると、比内地鶏の香りが蒸気とともに僕たちを出迎えます。
「どうぞ僕たちを美味しく食べてください。」
言われずとも食ってやりましょう、ということで友人と僕は、比内地鶏スープとともにきりたんぽを口に運びました。
そしたらどでしょう、その美味しさといったら言葉になりません。体にしみる、とはこのことを言うのかと初めて感じました。無我夢中でスープに、きりたんぽに、春菊に、こんにゃくに、鍋にあるもの一気に食べました。
「あーおいしかった。これで明日からまた頑張れる。」元気が復活したのはいいことですが、おけいこさんはここであることに気がつきました。
ちゃんと食べることって、大事だな。
おけいこさんは食べるには食べていました。でも食べるものといえば、だいたい買ってきたおにぎりだとかパンだとか。簡単に済ますことができるのはいいことですが、そこに足りていなかったものがあります。それは「人のあたたかみ」です。
コンビニなどで売っているものはどうしても機械で大量に作られたものばかりです。なのでどうしても人の手が入っていないので、もちろんそこには人のあたたかみというのは入っていなくて、だから食べてているとだんだん心が冷たくなってきます。その結果おけいこさんは無気力だったり心がモヤモヤしたりしました。
そっか、自分はちゃんと人の手が加わったものを食べられていなかったのか、だから元気がなかったのね。
ちゃんと食べて、生きることを実感した瞬間でした。
食べることは生きること、だけどただ食べるだけではダメだ。そこに人の温かみがあるか否か、その違いだけでも食べた後のみなぎるパワーというのは違ってきます。そう考えると、子供の頃元気に遊びまわれたのは、母親の手作りご飯があったからかもしれないですね。母親はすごいな〜。
ということで、買って食べるだけでは元気が出なくなってしまうということを学んだおけいこさん、彼はそれからなるべく自分の手で料理をすることにしました。おかげで最低1日1回は何かかしらの料理を作るようになって、とはいってもバリエーションはまだまだ少ないままで、チャーハンとカレーとパスタを今でも回しつくっております。まだまだ見習いの料理修行ですが、地道に頑張っていこうかなと思っております。主食ばかりを作っておりますので、まずはおかずという概念を覚えることが目標です。
別に難しいことではないのです。ご飯を炊いて、そこに何か一つを付け加えることから始めましょう。料理が苦手だという方も、まずは味噌汁から始めてみてはいかがですか。自分で作ると、けっこう心があたたまるものです。
何事も最初の一歩から。
今日もちゃんと食べて、元気に生きよう。
2019.3.17
おけいこさん