ことばタンク
言葉を話さない子どもにも『ことばタンク』はすでに備わっている。
言葉を話さなくても、大人の言っていることを理解している。
動物の写真を何枚か並べて、「ぞうはどれ?」と聞くと、象の写真を差し出したり、「お外行こうね。」と声かけると玄関へ向かったりする。
大人の無意識な口ぐせが子どもにも伝染する。例えば、「ヨイショ」とか、「そうだね」とか、普段は気にも留めないような単語が子どもたちに伝染する。
だから、0歳児クラスでも1児クラスでも、大人が気持ちの良い日本語をきちんと話す必要がある。
子どもたちの危機管理と業務に追われて、バーゲン会場か、競市場のような乱雑に聞こえる会話は控えるべきである。
幼い子どもたちは、『ことばタンク』に言葉を集めていくだけでなく、大人の言葉、仕草、態度を総括して再現していく。
子どもたちとのやり取りの中で、毎回小芝居のように
「どうぞ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
と丁寧にやり取りをしていると、子どもも自然とそれらを再現していくようになる。
言葉をまだ話さない幼い子どもでも「どうぞ」と言って物を渡すと、ぺこりと頭を下げたりする。
子どもの言語能力、吸収能力を過小評価せず、すごく幼いうちから、大人がするような"気持ちの良い"取り引きを、一緒にしていく必要がある。