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窓展に行ってみた@東京国立近代美術館

東京国立近代美術館で開催されている企画展「窓をめぐるアートと建築の旅-窓展-」に足を運んできた。

大学にいる建築学科の知り合いの影響で建築について知りたいと思っていた矢先、たまたまこういった企画展が開催されていることを知った。

そして今日、東京に出る予定があったので、せっかくだからと行ってみたわけだ。


一歩足を踏み入れた先にあったのは数々の写真や絵画。いずれもモチーフは窓。

そして冒頭、こんな説明書きを見つけた。

『15世紀の建築家アルベルティはこう言った。窓というのは「今ここ」と「ここじゃない場所」を隔てる存在。絵画における額縁は窓の役割を果たすものだ。絵画=窓なのだ』と。

そしてそのすぐそばにあったのが窓の外(家の外)から窓の内(家の中)にいる人を撮影した写真作品の展示。

窓が家の中というプライベート空間を完全に保護しつつも、撮影によって家の外と接触しているのだ。

なるほど。窓というのは内と外を隔てる存在でありながら、同時に内と外のつながりを示す存在なのだ。

考えてみればこれは唯一無二の、特異的な存在であることに気づく。


僕たちが家の中にいて安心できるのはなぜだろうか。完全なる閉鎖空間であり、安全を脅かすものの脅威を考えずに済むからだ。

しかしその閉鎖空間で陰鬱にならないのはなぜだろうか。それは窓の存在によって、自分は今生きている。広がりを持つ世界の一部だと認識することができるからだ。

窓は分断と接触の一見矛盾する二つの性質を、見事に合わせ持っているのだ。


窓をモチーフにした絵画はたくさん描かれた。アルベルティの絵画=窓という定義は、まさに的を得た定義だった。

そしてその描かれ方は「日常的な静物としての窓」から「人物の内面を暗示する装置としての窓」という風に、より高度に変化していったという。

ただ、絵画の読み取りに関しては今回変化を読み取ることはできなかった。

え、せっかく見に行ってるんだから読み取って来いって?

おそらく原因は知識不足だから勘弁してほしい。絵画などほとんど見たことがないのだ。


20世紀になると絵画と窓の関係はさらに深いものになって行く。

まずはニューヨークを拠点に活動した5人の建築家集団「ニューヨーク・ファイブ」の登場である。

彼らは「機能(換気、採光)としての窓」と「アート(内と外を隔てる)としての窓」を融合させた近代的な建築作品を手掛けた。


そしてフランスの芸術家アンリ・マティスがこう主張し始める。

「窓は二つの異なる空間を作り出しているわけではない。空間は一体なのだ」

窓は内と外を隔てる存在でありながら、同時に内と外をつながりを示す存在だとするここまでの前提を覆すものだ。この思考は作品にも表れる。

窓の内と外の色合いや人・物の描き方を統一することで遠近感を少なくし、一体の空間に存在することを強調するのだ。

窓の捉え方一つで絵画の描き方が全く変わってきてしまう。絵画の奥深さをここで感じたような気がする。


さらには抽象絵画の流行があった。

それまで描かれていたのは具象画。つまり何か具体的な対象(モチーフ)があって、それを絵画にするというものだ。

しかし抽象画には具体的な対象はない。あるいは対象は存在するけれども、それをそのまま描き移すわけではない。

つまり「そこにあるはずのないものを、まるで存在するかのように見せる」のである。

ここでもう一度「窓」がどんな存在であったか確認してみよう。アルベルティによれば「今ここ」と「ここじゃない場所」を隔てる存在なのだ。

「ここじゃない(今ここに存在しない)場所」を、まるで「今ここ」に存在するかのように見せるのが窓なのだとしたら。

窓は抽象画が流行するもっと前から、抽象画が持つ魅力を持ち合わせていたのかもしれない。


そして現代。

窓は僕たちの生活とは切っても切り離せないものとなった。IT化である。その際たる存在はスマホ。

現実とネットの世界を隔て、なおかつその二つの世界を接触させてくれる。まぎれもない窓である。

今まで外→内という情報の流れが基本だった。内側の閉鎖的空間にいる主体に向かって外の開放的空間の情報が流れ込んでくるのである。

それが内→外という関係に変化しつつある。

渋谷の大型ディスプレイなんかが良い例だ。大型ディスプレイという窓が外の開放的空間に向かって情報を発信する。

窓のあり方は、今もなお変化し続けているのだ。


僕たちが普段何気なく接している窓。しかしそこには非常に奥が深い歴史がある。唯一無二で特異的な存在であることを忘れてはいけない。

建築として、機能として、アートとして、象徴として、絵画として...

窓を知れば世界が広がる。

多くの人はまだその世界の広がりを知らないかもしれない。自らでこれが世界だと判断した閉鎖空間にいるかもしれない。

窓を知れば、ほんの少しかもしれないけど世界の広がりを知ることができる。

窓について知ることは、自分と世界をつなぐ「窓」を見つけること。

今回の窓展でそんなことを感じた。

皆さんも是非、時間があれば訪れてみてはいかがだろうか。本展示会は2月2日まで開催予定だ。


ちなみに、今回の展示会で窓に対する興味が非常に深まってミュージアムショップでこんな本を購入した。

数ある窓に関する本の中でこれを選んだのは一番読みやすそうだったから。

これを読んで、さらに窓に関する知識を深めていきたいと思う。

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O.Y.
こんにちは。岡田義隆です。趣味で多くの時間映画やドラマを見ているうちに僕は思いました。この時間を何かの形で活用したい。ただ見て満足するだけではもったいない。ってことでブログ始めました。