VCの投資基準8選 〜VCとのMTGをHackする〜
VCとのMTGを最大限有意義に💪
YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の大久保です。ツイッターもぜひフォローください。本記事は起業家向けに、VCとのMTGでアピールしておきたいポイント8選(裏返すとVCの投資基準)についてまとめたものです。1時間程度のMTGで、起業家の方が事業の素晴らしさを最大限アピールできる一助になればと思ってます。数多くの起業家とお話しする中で、私自身もこの図をホワイトボードに描きながらお互いの目線合わせをしてます。起業家の方からも、比較的ご好評いただいたため(甘めの自己評価🙇♂️)、より多くの起業家の役に立つのでわ、と思い記事化しました。
また、本「VCの投資基準8選」シリーズに対応する方で参考になるスライド集の備忘録「ピッチは魅せ方が鍵🔑」シリーズも記事化しているので合わせて御覧ください。
投資基準8選 〜The Criteria〜
Twitterでも日頃から著名VC(国内、海外)の投資基準を投稿してますが、それらの内容、及び、実務での経験を総括し下記8つをピックアップしました。基本的にはVCからのあらゆる質問がこの8つの要素に集約されると思います。
①事業のタイミングが適切で
②チームが素晴らしく
③PMFを達成していて
④真似できない競合優位性が有り
⑤儲かる構造で
⑥山の登り方の確度が高く
⑦山の高さもあり
⑧リターンが見込めるValuation
が”理想的”な状態となります。
cf)セコイヤ等の著名VCの投資基準
8つの要素の概要
各要素の詳細についてはそれぞれの記事をご参考いただければと思いますが、ここでは概要を紹介します。
①タイミング(リンクで詳細へ)
“タイミングが全て”という投資家もいるくらい、「なぜ今なのか?」という問いに答えるのは重要です。特にスタートアップの場合、大手がまだ手をつけていない、マクロトレンド(PEST分析)の変化を捉えた事業が望ましいです。
②チーム(リンクで詳細へ)
特にシード期において最も重要視されるのがチームです。事業領域を世界一知り尽くしており、構想力、巻き込み力、実行力に長けたチームで、自分たちが最も適任であることを示したいです。
③PMF(Product Market Fit)(リンクで詳細へ)
スタートアップが失敗する理由1位が”実は課題がなかった”ということが示すように、”誰の何の課題を解決するか”を立証することは初期において最も重要です。プロダクトで想定している価値提供ができていることを立証し、熱狂的なファンの獲得を目指します。
④競合優位性/勝ち筋(リンクで詳細へ)
PMFが立証できたら、なぜ、我々が勝てるのか、に関する仮説構築をしたいです。VRIOフレームワーク(価値があり、希少性があり、模倣困難性があり、組織として実行可能)や、成功事例の勝ち筋分析を通じて、勝てる理由を構築します。
⑤マネタイズ(リンクで詳細へ)
会社としては勝つだけでは不十分で、儲ける必要があります。ユニットエコノミクス(LTV/CAC、payback period)という1トランザクションの収益性の概念や、ビジネスモデル/PL全体での収益性の高さ等を定量的に示したいです。
⑥グロース戦略(リンクで詳細へ)
③-⑤においてビジネスの1サイクルが成立(価値提供を実現、競合優位性もあり、儲かる)していることを立証したら、そのサイクルを拡大再生産する成長戦略を説明します。それは例えば、営業やマーケティングの増強かもしれないですし、初期市場の隣接市場への参入かもしれないですが、事業計画/成長ストーリーの蓋然性の高さを訴えたいです。
⑦市場/ベンチマーク(リンクで詳細へ)
どの山を登るのかは、非常に重要です。理想的には市場規模が大きく、成長しており、マクロ的変化に根差したスタートアップの参入余地のある”隙間“があり、かつ、代替する企業の時価総額が巨大であることです。
⑧ROI/投資収益性(リンクで詳細へ)
相手が投資家である以上(シナジー投資は除く)、投資に値することをアピールしたいです。a.投資すると何倍になるのか(exit時のvaluationと今のvaluationの比)、b.その規模になる成功確率は何%か、の2つの要素に分解できます。a.リターン倍率×b.成功確率の掛け算の各要素、リターン倍率の高さ、成功確率の高さをアピールしたいです。
ステージごとの重要要素
事業ステージによって各要素の重要性の比重は変わってきます。各フェーズでの、主に訴えたい事項は下記のようなイメージです。
A.シードシードにおいては、全てがまだ仮説段階のことも多いので、特に①タイミング、②チーム、⑦市場の素晴らしさを伝えたいです。
B.プレシリーズAAシード編での要素に加え、③PMFの定量的な立証をしたいです。例えばCVRの高さ、リピート率の高さ、オーガニック成長の伸び、営業成約率の高さ、です。
C.シリーズA以降このフェーズ以降は良くも悪くも事業の数字が出るフェーズなので、仮説ではなくファクトベースで伝えたいです。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。各種スタートアップ関連の情報は、Twitterで呟いているのでぜひフォローお願いします。
また、シリーズA突破をコミットするアクセラレータープログラム「CodeRepublic」でもこういった議論を日々しているので是非ご応募ください💪
P.S.The Criteria(ザ クライテリア)という名前は、SalesForceのThe Model ちなんでます。
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