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投資基準8選 Part1"タイミング"

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はじめに

 YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の大久保です。ツイッターも是非フォローください!前回は投資基準8選の全体概要を記事化しました。サクッとおさらいしたい方は是非ご一読ください。また、タイミングに関わるプレゼン参考資料はコチラのシリーズも合わせてご参考ください。
 今回は1つ目のPart”タイミング”についての記事です。タイミングと言ってもピンとこないかもしれませんが、事業を開始するタイミングのことを指します。“タイミングが全て”という投資家もいるくらい、「なぜ今なのか?」という問いに答えるのは重要です。特にスタートアップの場合、通常、大手とガチンコで戦うことは避けるため、大手がまだ手をつけていない、しかしながら、今後成長する市場で戦うのが定石です。そして、その今後成長する”という根拠にマクロトレンド(PEST分析)の変化があり、今まさに参入するべき、と主張できると説得力が増します

タイミングはどれくらい重要なのか?

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上図は、200社のスタートアップについて、成功と失敗を分ける要素を分析した結果です。チームや、ビジネスモデル等を差し置いてタイミングこそが事業の成否を分けるという結果は興味深いです。
 著名投資家も同様のことを言っています。例えば、Kleiner Perkinsはunique insight としての「参入タイミングの重要性を説き、伝説の投資家のジョン・ドーアも「ニーズが切迫しているか/タイミングは適切かといった投資基準を挙げています。また、セコイアも今は小さいが、将来大きくなる市場」、そして「ビッグウェーブを見定めて”乗る”ことの重要性を説いており、いずれも、マクロトレンドを抑えたタイミングの重要性を訴えています。(以下参考)

どうやってタイミングを見定めるのか?

 タイミングの重要性が理解できたとして、次に、出てくる疑問はどうやってタイミングを捉えるのかということです。実際のところはプロダクトをリリースし、世に問うことでしか、適切なタイミングはわからないと思います。ただ、そう言っては元も子もないので、個人的に有用と考えるPEST分析をご紹介します。PEST分析はマーケティング分野で著名なコトラーさんが考案されたとされ、ビジネスマンであれば広く知られているフレームワークかと思います。

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①Politics
 政治や規制に伴うマクロ環境の変化です。直近起こった/起こる法改正や、経済産業省等のレポートに記載される今後の政策/法律策定方針等がスタートアップに機会をもたらすパターンです。金融・医療・教育等でトリガーになる事例が多い印象です。
②Economy
 経済水準、所得変化等のマクロ環境の変化です。他の項目と比較し非連続的な変化は起きづらい印象です。ただ、所得変化に根ざしたサービスも出ています。例えば、爆安ECサービスのwishは昨今の日本における所得格差の拡大に根ざして成長しているサービスです。また、為替の不安定な国においてbitcoinが流行するのもEconomyに根ざしたトレンドとなります。
③Social
 人口動態、価値観の変化等もマクロ環境の変化です。少子高齢化社会に伴うシニア向けサービスの機会や、終身雇用崩壊に伴う転職サービスの機会や、ビーガン、LGBT、女性活躍社会、移民増加....等、近年は数多くの変化が生じています。①Politicsの政策とあいまった時流を捉えられると説得力があります。個人的に面白いのは終身雇用崩壊・個の時代が到来していることで、優秀層×ITバックグラウンドが各産業に出ていっていることです。「なぜ今までなかったか?」に対する答えが、「それができる人がいなかったから」というものをよく聞きます。これも一つ、マクロトレンドに根ざした理由なのだと思うようになりました。
④Technology
 
技術発展による変化です。大半のスタートアップがここに根ざしていると思います。デバイスシフト(PC→ガラケー→スマホ)や通信速度向上(2G→3G→4Gに伴いテキスト→画像→動画)等、直感的にもイメージしやすいマクロトレンドの変化です。今だと、モバイル決済の普及・airpodsの普及が最大のトレンドかと思うので、そこに根ざしたサービス等はタイミングとしては最適だと思います。

以上簡単なPEST分析の話ですが、2つ以上のトレンドが組み合わさるとより”大きな波に乗れる”かと思います。

狙いたいタイミングの種類

こう見ると数多くの市場機会があるように思えます。その中でどのような”タイミング”が望ましいのでしょうか。それは、”非連続的”で”不可逆的”な機会です。比較的連続的な変化だと、大企業も順応しスタートアップが取り組む”隙間”が生じづらいです。一方で、非連続的な変化に対しては、スタートアップの強みである”focus"・"speed"・"優秀人材"を最大限活かせると思います。また、一時的なトレンドというよりは、10年後も続くような不可逆的なトレンドを捉えたいです。

おわりに

 今回は投資基準8選のpart1タイミングを記事化しました。実際には③PMFとも関連性が強く、プロダクトをリリースした後の初速の結果を見ることでタイミングの良し悪しを確認する必要があります。しかしながら、8つのポイントの仮説構築段階で、今やるべき理由を明らかにするのと、しないのとでは、大きな差が生まれると思います。

付録:想定質問例

・今である必然性はなにか?
・過去にない理由はなにか?既存大手が実施してない理由はなにか?
・業界の歴史を踏まえて今狙う領域が今後伸びる必然性はなにか?
・5年後どういう世の中になっていてるのか?
・マクロ動向(PEST)の何の変化に着目したアイデアか?
・非連続的な変化/トリガー的な変化があるのか?
・一過性ではなく、不可逆なトレンドを捉えているか?
・海外の先行事例はあるか?
・プロダクトの初速はどうか?

合わせて読みたい記事

【全体概要】VCの投資基準8選 〜VCとのMTGをHackする~(リンク先詳細)
①タイミング(本記事)
②チーム(リンク先詳細)
③PMF(Product Market Fit)(リンク先詳細)
④競合優位性/勝ち筋(リンク先詳細)
⑤マネタイズ(リンク先詳細)
⑥グロース戦略(リンク先詳細)
⑦市場/ベンチマーク(今後記事化)
⑧ROI/投資収益性(今後記事化)






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