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Daniele Sepe Quintet Live

「鹿児島-ナポリ姉妹都市提携60周年」を記念した特別プロジェクト!

イタリア文化会館 大阪のホームページには、昨年12月9日「Daniele Sepe Quintet Live」が紹介され、ナポリのサックス奏者、ダニエレ・セーペ(Daniele Sepe)が7曲を演奏する動画が無料公開されている。
この43分39秒の動画は『鹿児島-ナポリ姉妹都市提携60周年記念特別プログラム』の一環として企画されたもので、最初にナポリ市長のルイジ・デ・マジストリス氏、最後に鹿児島市長の森博幸氏が登場し、温暖で火山に近いというナポリと鹿児島の似通ったところや60年におよぶ姉妹都市提携について語る。この企画にふさわしく、観光都市ナポリの美しい風景を描く映像がたっぷりと演奏シーンに挿入されている。
セーペのMCには「私には名古屋で生まれた甥と姪が3人います」という言葉があり、彼の日本への愛着を実感する。姉妹都市の文化交流企画に参加する喜びと意気込みが彼の言葉からも伝わってくる。

公開された動画のURLは最後に載せるが、この動画に関する詳しい説明はイタリア文化会館 大阪のホームページに載っているので、そちらをまず見て頂きたい。今回セーペが選んだ7曲についても、作曲者など詳しい資料が載っている☟
https://eventionline.net/artist_video/s203/?fbclid=IwAR1ixbWHUYO_yVqb6bNAvblGcasz37gF0j-2hwe-IXyZCGjRiIE6PZCBgJQ

個性豊かなナポリのジャズプレイヤーらしい選曲について
ダニエレ・セーペ(sax)を聴くのは初めてだったが、まずは個性的な選曲をする人だと思った。ニーノ・ロータの「アマルコルド」は映画を見たが、続くモリコーネの「殺人捜査」は知らない映画で、曲を聴くのも初めてだった。映画音楽の巨匠の2人の作品の中では、通好みの曲かもしれないと思う。どちらもユーモアに満ちた曲で、ピアニストの盛り上げ方が素晴らしい。息をひそめるような表情でタンバリンを叩くパーカッショニストの動作も面白い。
イタリア映画音楽が3曲続いたあとは、日本歌曲の「さくらさくら」を演奏するが、「ナポリ風アレンジで」というセーペの説明通り、テーマ部分は骨太なジャズっぽい「さくらさくら」に仕上がっている。
その後はガトー・バルビエリ、アタウアルパ・ユパンキと、アルゼンチンの作曲家を取り上げる。バルビエリの「NUNCA MAS」が始まると、陽光に満ちたナポリの海岸沿いの風景が映し出され、爽快なこの曲にぴったりだと感じる。続くユパンキの「トゥクマンの月」ではセーペの歌声が味わい深い。
ラスト曲はソニー・ロリンズの「セント・トーマス」。

7曲とも内容が濃く変化に富んだ演奏で、この企画に臨むダニエレ・セーペの意気込みを感じる一方、彼のこれまでの音楽活動が垣間見えるような気がした。クインテット全員が相互のアイコンタクトを大切にして、締めるときはビシっとまとまっていく。その一方でそれぞれの大胆なプレイ、優雅なソロが生まれ、心地よい流れを作っていた。

楽曲(詳細は上記のリンク参照ください。とても参考になります!)
①AMARCORDニーノ・ロータ作曲。1973年の映画「フェリーニのアマルコルド」より「アマルコルド」。03:05~
②INDAGINE SU UN CITTADINO AL DI SOPRA DI OGNI SOSPETTO
 エンニオ・モリコーネ作曲、1970年の映画「殺人捜査」より「殺人捜査」。09:00~
③MARCIA DI ESCULAPIO ピエロ・ピッチョーニ作曲、1968年の映画「ザ・パネル・ドクター」より「アスクレーピオスのマーチ」。15:56~
④SAKURA 日本歌曲の「さくらさくら」に基づいた曲。20:38~
⑤ NUNCA MAS ガトー・バルビエリ作曲「ヌンカ・マス」(もう二度と)26:15~
⑥LUNITA TUCUMANA アタウアルパ・ユパンキ作曲 「トゥクマンの月」31:20~
⓻ST. THOMAS ソニー・ロリンズ作曲 「セント・トーマス」36:51~

出演者
Daniele Sepe (Sax) ダニエレ・セーペ:サックス
Tommy De Paola (Piano) トミー・デ・パオラ:キーボード
Paolo Forlini (Drums) パオロ・フォルリーニ:ドラム
Davide Costagliola (Bass) ダヴィデ・コスタッリォーラ:ベース
Antonello Iannotta (Percussion) アントネッロ・イアンノッタ:パーカッション

サックス奏者ダニエレ・セーペの多彩な音楽活動
この動画を見てから、ナポリのサックス奏者、ダニエレ・セーペ(Daniele Sepe)について、自分でも調べてみたいと思った。イタリア文化会館 大阪のホームページには、下記の説明のほか、詳しい経歴が記されている:

1960年、ナポリ生まれのサックス奏者/作曲家。ジャズやナポリの伝統音楽に加え、レゲエ、フォーク、ワールドミュージック、ロック、フュージョン、ブルース、地中海音楽、クラシック等々、様々な音楽ジャンルの境界線を超越した独自の世界を展開している。また、演劇・バレエ・映画のための音楽も作曲。…

☆ホームページの経歴にも記されているが、おそらく彼の現在の活動で特に注目を集めているのはステファノ・ボラーニとのプロジェクトだろう。曲は「スパルタカス・愛のテーマ」。
(Daniele Sepe feat. Stefano Bollani - Love theme from Spartacus)

☆2016年にはDaniele Sepe Sextet - Direction Zappaと銘打って「フランク・ザッパ」トリビュート企画によるコンサートツアーを行っている。これにはドラムにハミッド・ドレークが参加している。フランク・ザッパ曲だけでなくチャールズ・ミンガス、ジェームズ・ブラッド・ウルマー、エンニオ・モリコーネなども演目に取り上げている。
ジャズという枠を大きくはみ出しながら、ジャズ演奏家ならではの新鮮なザッパ・トリビュートに仕上がっており、さらにイタリアっぽさもたっぷり盛り込む。人気コンサート企画のようだが、アルバム化されていないようだ。フランク・ザッパとジャズを両方好きな方には是非聴いてほしい。この音源は正式にCD化されてほしい。


☆最後に、ここで紹介した動画を載せますが、上記の通り、イタリア文化会館 大阪のホームページから先にご覧になることをおすすめします!