「エイリアン:ロムルス」「ナミビアの砂漠」
さて、忘れないうちに映画の感想をメモしておきます。まずは「エイリアン:ロムルス」から。なんだかんだ観ている「エイリアン」シリーズ。ギーガーによる生理的嫌悪を催す醜悪なエイリアンは幼少期のトラウマでもあり、それに立ち向かう強い女性(シガニー・ウィーバー演じるリプリー)への憧れを生んだ作品でもありました。本作はそこまでの衝撃はないものの、主人公が「プリシラ」のケイリー・スピーニーだったり全体的に若返って「エイリアン」シリーズを知らない世代にも楽しめるような作り。監督が「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスなだけあって、音を立てないように息を潜める緊張感あふれるシーンがあったり、重力を利用したバトルなど飽きさせない工夫が見られました。人間はアンドロイド(AI)と共存できるのか?という今にも通じるテーマも継続、過去作への目配せもありつつサービス精神旺盛な仕上がり。続編もあるような終わり方だったので、なんだかんだ観てしまう気がします。
次はカンヌ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞、さらに河合優実主演ということで楽しみにしていた「ナミビアの砂漠」です。予告編の印象は90年代の香港や台湾の青春映画の雰囲気で、主人公カナの疾走感やポップな映像が挟まれるところは確かにそれらしい。しかし終盤に行くにつれだんだん不穏な空気が増していき、これは今を生きる女性のリアルな渇きと心象風景の映画なんだなと思いました。まさかあの曲があんな使われ方をするとは!(そして作詞・作曲マイク真木という知見を得た)
案の定、某ドラマで聖子ちゃんカットをしていた「可愛い河合優実」を期待していたであろうおじさんはイビキをかいて爆睡。いわゆる「理想のヒロイン像」とは真逆の、常にタバコとスマホが手放せず、苛立ち叫び暴れるリアルな女性像が良かったです。(冷蔵庫から出したハムを手掴みで食べるとこも)やたらと水を飲むシーンや、スマホで観ている砂漠の映像は彼女自身の心の渇きを象徴しているよう。脱毛サロンで死んだ目をしながら働いていたり、友人の話をつまらなさそうに聞いていたり、彼女のどこか山口百恵を彷彿とさせるような目の暗さが生かされていました。アースカラーのファッションが可愛いなと思っていたら、スタイリングが髙山エリさんだったので思わずニッコリ。
終盤の展開にはびっくりする人もいるかもしれませんが、部屋が反転していたり後からこれは彼女の心の中なのでは?と。隣人の女性はカナの理想の姿なのかもしれません。アリ・アスターがコメントを寄せていたのも納得の作品でした。監督はまだ20代とのことなので、次の作品も楽しみです。
おかゆ嬢の9月の定期検診は特に問題なく無事終わりました。投薬完了まであと2ヶ月、それまで気を抜かず頑張りたいと思います。猛残暑が続きますが、引き続き皆様お気をつけて。