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変わりゆく007

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 「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の感想を。何度も公開延期になったので、ビリー・アイリッシュの哀愁漂う歌声とも相まってオープニングから胸アツ。前半はいわゆる007らしいスピード感溢れるアクションやボンドカーのギミックなどで楽しませ、後半はダニエル・クレイグ版ボンドを締めくくるのにふさわしい愛と成長の物語に。結構予想外の展開もあったので、なるべく情報を入れずに観たほうが楽しめるかと。

 かつてのボンドだったら、きっと一夜を共にしていただろうアナ・デ・アルマス演じるキューバの新人スパイとも任務を果たしたらさらっとお別れ。(アナの出番は短いけれど、床を転がりながら3方向にガンショットをキメるシーンが最高)ひたすら強くて「完璧なスパイ」ではなく、自分の過ちや弱さを認めそれを償うことで愛を手に入れた「一人の人間」として描かれていたのがとても印象的でした。従来のファンを満足させつつ、新キャラのMI6の現役スパイやQの彼氏の存在がさらっと描かれていたりちゃんと現代の価値観にアップデートされていて007の進化を感じられたのもよかったです。(Qの猫と遊びたい!)

 わかっていたことですが、ダニエル・クレイグ版ボンドがとても好きだったのであの完璧すぎるトム・フォードの着こなしがもう観られないと思うと本当に寂しい・・・。でも、「DUNE/デューン砂の惑星」が公開中のドゥニ・ヴィルヌーヴが007の監督に興味を示してるとの噂もあるのでそれはそれで観てみたいですね。

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 次はみんな大好き「ムーミン」の生みの親トーベ・ヤンソンを描いた「TOVE/トーベ」です。

 彼女の恋愛や芸術家としてなかなか認められなかったことへの葛藤が中心に描かれていて、ムーミンファンの方々は少々物足りないかも。私はトーベさんのことをあまり知らなかったので、その「酒と煙草と男と女」っぷりは興味深かったです。いつも心に爆弾を抱えているような激しさや満たされない心が、あのムーミンを生んだかと思うと意外なような妙に納得するような。有名な彫刻家だった父親の娘への贈り物には、ベタだけどうっかり泣きそうに。毛色は違いますが「007」も「トーベ」も、愛する人を解放することで自分を取り戻す物語でした。

 見出し画像は映画の帰りに買ったosajiのホリデーコレクションのアップリフトネイルカラー205接触です。ピンクとパープルにグレイッシュブラウンが入った不思議な色が気に入りました。