「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」「犯罪都市 PUNISHMENT」
映画の感想2本まとめて。まずは、2011年ディオールのデザイナーだったジョン・ガリアーノがカフェで反ユダヤ主義的暴言を吐き逮捕された事件を中心としたドキュメンタリー「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」から。
それなりにファッション好きだった私にとっても衝撃的な事件でしたが、ガリアーノ側だけでなく被害者やユダヤ人コミュニティの指導者たちにも丁寧に取材していてバランスがとれていた印象。ガリアーノの生い立ちや、彼自身も「配管工の息子」とマスコミに最初は揶揄されたり、過密スケジュールでアルコールと処方薬依存になったこと、右腕的存在の急死など知らなかったことも多かったです。マックィーンのドキュメンタリーでも感じたけれど、本当にデザイナーへの過度なプレッシャーや過酷な労働環境は改善されるべき。そして無知や過ちを反省し学ぶことができるシステム作りも。
だからといって差別発言が許されるわけでもなく、被害者のその後を知ると胸が痛みました。ガリアーノはそもそもユダヤ人のことをよく知らず発言していたことにも驚いたし、よく言えば天然で悪く言えば世間知らずなのでしょう。心身共に健康的な生活を取り戻しマルジェラのデザイナーとして復帰した姿に少し安心したものの、黒人のファッション関係者による「白人だから復帰できた」という発言にはハッとさせられました。確かに高級メゾンのデザイナーっていまだに白人がほとんどで、ガリアーノだけでなくファッション業界全体の問題点についても指摘されていました。
白黒つけるというよりは「これを踏まえてあなたはどう考えますか?」と問われているよう。クリエイティブの才能と社会性、両方備えている人はなかなかいないし人間は愚かな生き物だから周囲のサポートがやはり必要。やっぱりあのショーの最後に出てくるやり過ぎガリアーノが忘れられないのも事実で、罪を抱え反省しながら創造は続けていって欲しいなとは思います。
長くなってしまったのでこちらは短めに。愛するマ・ドンソク兄貴による人気シリーズ「犯罪都市 PUNISHMENT」です。4作目は親子の仇討ちという人情ものでありつつ、ファンにとってはお馴染みの巻き込まれキャラ、チャン・イスも大活躍で笑い多めの仕上がり。IT犯罪にはチーム戦で挑み、チャン・イスとのバディ感も楽しかったです。悪役の元ITの天才CEOの衣装が全部トム・ブラウンで、闇落ちオードリー・タンみたいな風貌なのもツボでした。エンディング曲も最高なので、ぜひ最後までご覧ください。(チャン・イス役のパク・ジファンさんが歌っているらしい)見出し画像は入場特典のカードです。早速スマホケースに挟んだのは言うまでもない。
おまけは家で開催した新米祭り。来週半ばくらいから気温が下がるようなので引き続き皆様体調にはお気をつけて。