2/16 猪瀬浩平×熊井晃史トークイベント <雁皮と福祉>
2月16日、文化人類学者の猪瀬浩平さんと、東京・小金井でギャラリーを主宰し、10代のための新しいスクール「GAKU」の事務局長を務める熊井晃史さんが来岡! 「雁皮と福祉」というテーマでトークイベントを開催します。
猪瀬さんは、「福祉農園」の先駆けである埼玉県の見沼田んぼで活動をつづけ、『分解者たち』や『野生のしっそう』など話題の本を出版されてきました。その猪瀬さんのもうひとつのフィールドで、『むらと原発』の舞台である高知県四万十町は、和紙の原料となる雁皮の産地でもあります。岡山でも自生する雁皮は、栽培に適さず、野生のものが採取されてきました。人間の思惑どおりには管理できない「ちぐはぐさ」を持つ雁皮は、「障害者」と名指されてきた人びとのあり方や「教育」の現場でおきている問題とも重なります。
熊井さんは、2024年4月に開かれた「SHIBUYA CAST.」の7周年記念イベントのディレクターとして「不揃いの調和」という建築デザインのコンセプトに着目し、猪瀬さんは「ちぐはぐさ」こそが「自治」を考えるキーワードだと論じています(『現代思想 特集:自治の思想』2024年11号)。
<雁皮と福祉>という、いっけんまったく相容れない視点のまじわりから、お二人に縦横無尽なトークを展開していただきます。司会は、文化人類学者の松村圭一郎さん。イベント終了後は、舞台芸術プロデューサーの武田知也さんも参戦して、参加者とともにわいわいと懇談する会を開きます。ぜひご参加ください。
日時:2025年2月16日(日)18時~20時
場所:奉還町4丁目ラウンジ・カド(https://www.lounge-kado.jp/)
参加費:入場料無料・ワンドリンク制
※イベント終了後は、参加費1500円(軽食付き、ドリンク代別)で懇談会
<登壇者プロフィール>
猪瀬浩平
明治学院大学教養教育センター教授。専門は文化人類学、ボランティア学。1999年の開園以来、見沼田んぼ福祉農園の活動に巻き込まれ、様々な役割を背負いながら今に至る。著書に『むらと原発――窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと』(農山漁村文化協会)、『分解者たち――見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院)、『ボランティアってなんだっけ?』(岩波ブックレット)、『野生のしっそう――障害、兄、そして人類学とともに』(ミシマ社)などがある。
熊井晃史
「GAKU」事務局長、ギャラリー「とをが」主宰など。一貫して、創造性教育の現場に携わりながら、聞き手や編集や執筆も手掛ける。渋谷キャスト七周年祭の記念冊子として「『頼まれなくたってやっちゃうことを祝う』田中元子、若林恵、猪瀬浩平」を製作したことで、猪瀬さんと交流が始まり、さらには偶然にも、旧友が四万十で木工作家を営んでいることから、『むらと原発』の舞台であり、雁皮の山地でもある四万十町との縁が生まれる。地元の東京・多摩地区では、公園を「インクルーシブ化」するためのプロジェクト「play here」を手掛けている。
武田知也
2006年~14年までNPO法人アートネットワーク・ジャパン所属。08年から「フェスティバル/トーキョー」の立ち上げに事務局スタッフとして関わり、11年〜13年に制作統括を務める。14年冬~ロームシアター京都開設準備室。同劇場で事業・企画担当。18年4月~はフリーランスになり「さいたま国際芸術祭2020」キュレーターなどを務める。21年、アートマネージャーのコレクティブ一般社団法人ベンチを設立。その他、舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)副理事長、埼玉県川越市にてまちづくり・場づくりを手掛ける合同会社オンドメンバー。玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科、法政大学キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科非常勤講師。
司会:松村圭一郎
岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。著書に『所有と分配の人類学』(ちくま学芸文庫)、『基本の30冊 文化人類学』(人文書院)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)、『くらしのアナキズム』(ミシマ社)、『これからの大学』(春秋社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『旋回する人類学』(講談社)、『人類学者のレンズ』(西日本新聞社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)がある。
Photo ©森田友希