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EVERYDAY大原美術館2023 vol.13「それが私の生きる道」
職業名って難しい。
私は文章を書く・ライターという仕事をしている。
ライター(writer)。
文字通り書く人。
作家でもあるし、記者でもあるし、文筆家でもあるし、定義は広い。
画家は、ペインター(painter)。
ペイントする人、描く人、塗る人。
画家とはどんな職業なんだろうか?
ベン・ニコルソン作「1933(ペインティングーハイビスカス)」
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画家の仕事
1番最初が肝心だ。自分のスタンスを決める。
私はどのように世界を見ているのか。
ペインターはキャンバスに黒を塗った。
塗り残した部分を新たなフレームとして残し、元々ある枠とは違う
少し曲がった自分らしく、自分だけのフレームを描き出す。
さあ、次は身を委ねよう。
今回は、ペイントしない。
針金のような固いものをペイントした黒の上を滑らしていく。
直線や円、三角や四角。
事実を伝えるように、法則性を伝えるように、
関連性と連続性、普遍性や均衡性、さまざまな性質が浮かび上がる。
ただ何を描いているということはない。事実、そうなっているだけ。
最後の仕上げだ。
最後は楽しめばいい。好きなところに好きな色をペイントしていこう。
多くは塗るな。主張は少ない方がいい。
微妙な色は手にするな。考える余地など与えない。
インスピレーションだ。思いつきだ。
ただ、その手に取った筆を自由に動かせばいい。
三角を白に塗り、半分の円を赤に塗った。
だからなんだ?意味などない。
そうだな、この赤と白。ハイビスカスとでも名付けよう。
意味づけ不要論
物事には意味がなければならない。
そんなことはない。
ペインターのしている仕事なんて、こんなもんさ。
最初の私はどう生きてるかが重要で、あとは風まかせ、気分まかせ。
意味なんてないのさ。
ただ、私がどう生きるかだけ。
だから、ペインターは職業ではない。