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エブリディ大原美術館 2日目〜グヂャグヂャ〜

携帯電話が主流となる前、固定電話の時代があった。
夜な夜な、取り止めもない話は楽しい。ついつい長電話となる。
電話のそばにはメモ用紙があって、ボールペンでグヂャグヂャし始める。
なんの意味があるわけではない。
四角をいっぱい書いてみたり、丸をグルグル、グルグル書いてみたり。
ペン先は、あっちへこっちへ、無意識に動く動く。
濃い部分もあったり、角ばったり、はみ出したり。
後で見ても何を書いたのかわかることはない。

今日の作品は、白髪一雄の「赤壁」

メモ用紙にグルグル書いた落書きとは、
比べものにならないくらいの大きさ。ど迫力。横は2.6メートル。
白いキャンバスに黒、赤、黄色、(少し白を混ぜたような部分もある)の
絵具をグジャグジャと縦横無尽に動き回る。
右から左、上から下へ、時には鋭角に時には大きく。
「なんじゃこりゃ?」
きっと意味などない。
長電話の途中に偶然に生み出された落書きのように。

迫力だけはすごい

長電話の落書きと違うとことがある。
なんだかわからないが、すごい迫力だ。
勢いというのだろうか、絵具が飛び散ってきそうだ。
近づいてみると、絵具は塊となって残っている。
老婆の手のような、樹木のような、ガサガサしたバリバリの生命はあるが、
もう最終形態といったような怖さを見せつける。

キャンバスに何度も何度もグリグリと絵具は渦巻いている。
逆に渦の外側は、乾いていて薄っぺらい。
上から重ねられた色は、
混ざりあう部分もあれば、分離して混ざり合わない部分もある。
均一な場所は一つとしてない。予定調和はあり得ない。
じ〜っとみていると、だんだん渦の中心が見えてくる。
絵に奥行きが生まれてくる。グルグル回転し始める。

赤が主人公に見えてきた

ここからは(これまでもだけど)私の勝手な想像だ。
赤は、一人だけ逃げ惑っている。すごいスピードで。
竜のような長さを持った生きものなのか、
それとも線状に見えるものは、残像のなのか判断がつかない。
赤を追いかけてくるのは、黒だ。
黒は黒として存在していない。闇だ。
黒と赤がぶつかり合う時、電光石火がほとばしる。

赤はなんだ?

この絵画はタイトルは、「赤壁」。
「赤壁」と言えば、三国志の名場面「赤壁の戦い」。
全くイメージと結びつかないので、無理やり結びつけるのはやめておく。

では、赤はなんだ?魂?情熱?生命?
画面には多くの色と、線と、重量がある。
ただ、あるのはたった一つ、赤だけ。
赤が駆け抜けることで、光を放ち、光が放たれるから闇が生まれる。
一つの赤が、怒涛のエネルギー渦を生み出している。

大原美術館に通うようになった理由

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